修士論文紹介 of 電気制御システムコース



研究に終わりは無い

【氏名】

  • 牧村英俊君(電気制御システムコース1期生,2011年3月修了

【研究テーマ】

  • 長距離通信を目指したセンサ付パッシブICタグの開発

【研究の概要】

  • 近な空間に様々なコンピュータやセンサを配置し,環境情報を収集するということが近年行われるようになっています.しかし,センサの動作には電源が必要であり,システムを導入するには電源の確保やメンテナンスが必要となるので,このままでは広い普及は難しいと考えられます.
  • 一方RFIDは,自動車のイモビライザや電子マネーなど,様々な分野で応用されている技術であり,そこには無線で電力と情報をやりとりする技術が用いられています.したがってRFIDの技術を用いることで,無線でセンサに電力を送信し,計測した情報を無線で収集することが考えられています.
  • このようなシステムを実現するために,本研究では(1)低消費電力のセンサ,(2)無線でより多くの電力を受信できるアンテナ の2点について検討を行いました.
  • (1)では,アナログ値である温度の情報をデジタル化する方法を工夫することで低消費電力の温度計測センサを開発しました.現在この回路について特許を出願中です.(2)については,進化的計算手法の一種である遺伝的アルゴリズムを用いてアンテナの設計を行いました.遺伝的アルゴリズムは生物の進化を模したアルゴリズムであり,問題の評価指標さえ与えておけば,機械が解を求めてくれるという手法です.
  • 設計したシステムについて試作,評価を行ったところ,数メートルの距離を隔てて温度の計測を行うことができることを確認できました.今後,アンテナからセンサに電力を供給する回路の効率を改善するなどして,通信可能距離をさらに延長することに取り組みます.

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【苦労した点・楽しかった点】

  • 電磁波関係の実験結果は周囲の環境からの影響を非常に受けやすいので,実験手法に問題があると,結果は全く見当違いのものになってしまいます.したがって,実験の手順や試作の方法などを何度も改良して実験を行いました.期待通りの結果が得られたときには非常に大きな達成感を得ることができました.
  • また,学会の締め切り前などは,成果と期限両方に追われることになるので非常に苦しいですが,発表のために様々な場所に行くことができるということもあり,良い経験になりました(イタリアで食べたピザが美味しかった!).

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【修論研究を終えて】

  • ある課題を設定し,その課題を解決すると,更に別の課題が見えてきます.研究には終わりなんて無いということが良くわかりました.一歩一歩,技術が進歩していくことを実感できます.


【後輩達へ一言】

  • システム情報科学専攻に入れば,様々な技術を学ぶことができ,多様な人と知り合うこともでき,宝くじが当たり,身長も伸び,おまけに彼氏彼女もできます!(効果には個人差があります)