実験装置

本研究室では、以下の実験設備を用いて研究を行っています。

結晶成長・薄膜成膜装置

超高真空複合エピタキシーシステム

III-V族化合物半導体分子線エピタキシー装置と超高真空電子ビーム蒸着装置を超高真空搬送トンネルで接続し、真空一貫プロセスによるエピタキシャル成長が可能です。光デバイス作製に用いるGaAsやInGaAs量子ドット、量子井戸や超格子などの膜厚を原子レベルで制御した高品質結晶を成長しています。ドーピングや、窒素プラズマによる希薄窒化物半導体(GaNAs)の成長も可能です。そして、半導体による素子構造を作製後、超高真空環境を破らずに電子ビーム蒸着により電極構造などを積層することが可能です。

超高真空スパッター装置

金属強磁性体や酸化物の薄膜作製を行う超高真空スパッター装置です。ロードロック室を有しており、スパッター室は超高真空状態を保つことができます。試料基板からスパッター源までの距離を長くとる遠隔スパッタリング(long throw sputtering)によりプラズマダメージを軽減し、数原子層レベルの極薄膜の形成が可能です。

熱処理装置

ランプ加熱装置

赤外線ランプにより、高速な加熱冷却が可能です。
最高加熱温度:1200℃、昇温速度:50℃ /s、試料寸法: 50×50 mm t5 mm, 加熱雰囲気:真空、窒素

真空熱処理炉

加熱チャンバーの容積が大きく、一度に多くの試料や超高真空用部材の熱処理が可能です。
最高温度:1000℃、加熱雰囲気: 真空

自作の超高速時間分解発光分光システム(近赤外光用)

自作蛍光分光システム(近赤外光用)

主に近赤外領域における発光スペクトルを、1ピコ秒オーダーの超高速時間領域で時間分解測定可能なシステムです。偏光特性の時間変化も検出できます。

ストリークカメラ(可視・近赤外領域)

可視から近赤外領域で、様々な物質の発光や蛍光などの時間分解分光が可能です。

感度波長域:300 – 1300 nm, 時間レンジ:0.3 – 2 ns, 時間分解能:2 – 20 ps程度

分光器+InGaAs検出器

近赤外光用の分光器と検出器のセットです。
ストリークカメラとは、切り替えミラーによりワンタッチで切り替えて使用できます。

感度波長域:900 – 1700 nm

波長可変フェムト秒パルスレーザ

PCで制御する波長可変Ti:sapphireフェムト秒パルスレーザです。時間分解発光分光の励起光源として使用しています。高調波生成装置と組み合わせることで、2倍波と3倍波の波長変換出力も可能です。

波長: 690 – 1040 nm, 繰り返し周期: 80 MHz, パルス時間幅: < 100 fs

波長可変CW Ti:sapphireレーザ

波長可変Ti:sapphire CWレーザです。発光分光の励起光源として使用しています。

波長: 700 – 1000 nm

高温対応型冷凍機

試料を加熱することもできる特注のクローズドサイクル型クライオスタットです。極低温から200℃まで連続的に温度設定できます。電流導入端子付きです(4極)。

試料温度: 4 – 473 K

電磁石

発光分光測定中に試料に磁場を印加できます。ガイドレールにより冷凍機と場所を入れ替えることで、光軸調整なしに簡単に測定することができます。最大磁場を決めるポールピース間隔は変更可能です。

磁場:最大2.1T (ポールピース間隔10 mmの時)
薄膜試料の発光測定に対してフォークト配置

自作の超高速時間分解発光分光システム(可視光用)

ストリークカメラ(紫外・可視光領域)・CCD検出器

発光スペクトルをピコ秒までの超高速で時間分解測定可能なシステムです。分光器内部の切り替えミラーにより、時間分解用のストリークカメラと通常のCCD検出器を選んで測定可能です。

感度波長域:200 – 900 nm, 時間レンジ:0.3 ps -1 ms, 時間分解能:最小2 ps程度

波長可変フェムト秒パルスレーザ

PCで制御する波長可変フェムト秒パルスレーザです。発光分光の励起光源として使用しています。パルスセレクタと高調波発生器も利用可能です。極めて広い波長可変性能と群速度分散補正機構を持っています。

波長: 340 – 650, 680 – 1300 nm, 繰り返し周期: 1 kHz – 80 MHz, パルス時間幅: < 120 fs

試料冷凍機(Heガスセル付き)

4Kまで試料を冷却することができるクローズドサイクル型のクライオスタットです。試料室にヘリウム(He)ガスを導入することができるため、微細な粉末試料などもガラス管に封止することで冷却できます。

試料温度: 4.2 – 300 K

自作の磁場中顕微分光システム

自作顕微分光システム

顕微鏡の対物レンズを使用して励起レーザのスポット径を絞り、試料の微小領域を選択的に励起します。同軸落射照明と観察用カメラにより励起スポットの位置を観察できます。
磁場が不要な場合には、小型のクライオスタットにより簡単に極低温での測定が可能です。また、LEDなどのデバイス試料に対して、デバイス構造における特定の微小領域からの電流注入発光(EL)分光が可能です。

超電導マグネット・クライオスタット

試料に外部磁場を印加することができます。液体ヘリウム連続フロー型のクライオスタットが使用できます。

磁場: 0 – ±5 T (ファラデー配置)
試料温度: 4.2 – 300 K

半導体ピコ秒パルスレーザ

CW動作とパルス動作が切り替え可能な半導体レーザです。

レーザヘッド波長: 405, 780, 850 nm
最小パルス幅: 40 – 80 ps

分光器+InGaAs検出器

近赤外光用の分光器とInGaAs検出器のセットです。

感度波長域:900 – 1700 nm

電気特性の計測

垂直磁場プローバー

薄膜試料の膜面垂直方向に磁場を印加し、各種の電気的計測ができるマニュアルプローバーです。

磁場: 0 – ±0.4 T