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研究室の概要
ヒトや様々な生物のゲノム情報が解読される時代になりました。しかし、暗号文とでもいうべきゲノム情報の真の解読はこれからです。本研究室では、生き物の情報である遺伝子やタンパク質に注目して、その構造や機能、進化を調べています。さらに生命情報の観点から、人体あるいは生物という宇宙を解明し、医療や創薬、農業など、様々な発展に結び付けたいと考えています。

研究内容の紹介
現在知られているすべての生物は核酸(DNAとRNA)に生命の設計図の情報をもっています。個々の設計図を遺伝子といい、1つの生物を構成するための設計図の1セットをゲノムと呼びます。30億塩基対という有限のヒトゲノム情報の解読は概ね収束していますが、本質的解明はこれからです。これは、ばらばらになった飛行機部品のスケッチから、個々の部品の役割と挙動、他の部品との関係、故障時の影響を知ることが難しいのに似ています。生物学も情報解析の時代です。部品情報は簡単に得ることができ、動く現物も提供されていますが、巨視的挙動を司る微視的部品とその挙動やネットワークを含む本質がほとんどわかっていないからです。そしてこの点こそが、生命の本質や疾患の解明につながる鍵なのです。本研究室では、遺伝子やタンパク質の情報に基づき、生体分子の構造や機能の構成原理、ネットワークにおける挙動、および生物の多様性、分子系統などを解明し生命の本質を理解することを目標に研究を行っています。関連する内容から、学生は自由にテーマ設定します。以下に研究テーマの一部を紹介します。
- 分子に働く自然淘汰や進化速度などの分子進化に関する研究とその応用
- 分子の構造予測とその構成原理の解明と機能デザインへの応用
- 脳・神経系、感覚の進化と生物の多様性に関する研究とその応用
- 大規模生命情報を扱うことのできるデータベースやアルゴリズムの開発
- 疾患判断や薬効予測などに関わるアルゴリズムの開発とその応用
また、本研究室では、主に以下のようなアプローチで研究を行っています。
遺伝子、タンパク質の配列に基づく研究のアプローチ
異なる生物や個体間では、同じ機能をもつ遺伝子にも違いがあります。このような違いは生き物独自の機能や病気の原因につながる可能性があるのですが、実際に目で調べることは出来ません。そこで、コンピュータ上で遺伝子のどの部分の配列が、いつ頃、どのような生き物の間で進化しているかを調べていきます。

タンパク質の立体構造に基づく研究のアプローチ
タンパク質の構造を実際に見ることは出来ませんが、コンピュータ上では仮想的に表現することができます。コンピュータ上で受容体タンパク質と結合させたり、構造を変化させることで、薬になりそうな化合物を見つけたり、その作用過程を調べたりすることができます。
情報科学と生物学の融合によるアプローチ
生命情報に限らず、文献やWEBデータなど我々の身の回りには非常に多くの情報があふれています。これらの情報を効率的に処理するためのアルゴリズムが情報科学の分野で数多く研究されています。最先端の情報科学の手法を生物学の諸問題に適応することは、これまでに解けなかった問題を解決するための新しい手法として注目されています。
研究設備の例
個人用PC、Linux server群、GPGPU用ハードウェア、MATLABバイオインフォマティクスツール他。
将来に役立つ知識や技術
コンピュータ操作に関わる基礎技術
- Linux/unix環境でのサーバ管理などの基礎技術
- プログラミング技術
- データベース操作に関する基礎技術
統計・データ処理に関わる基礎技術
- RやMatlabなどの統計解析ソフトウェアを用いた解析技術
- 自作プログラムによる統計、データ処理技術
生命情報解析に関わる技術
- 遺伝子、タンパク質の情報を扱う技術
- タンパク質構造の予測、可視化、操作技術
- 分子進化解析、分子系統解析
このようなキーワードに興味がある人は、ぜひ、研究室見学に来てください。
分子進化/構造・機能の保存と分化/生物の多様性/感覚の進化・多様性/アルゴリズム/機械学習/脳・神経系/疾患/創薬/生命情報データベース
所属教員
- 教授:遠藤 俊徳
- 准教授:長田 直樹
お問い合わせ
住所:〒060-0814 札幌市北区北14条西9丁目 北海道大学大学院情報科学研究科
情報科学研究科棟9階9-25(教授室)、9-24(准教授室)、9-07・08・09(学生研究室)
遠藤教授 電話:011-706-6547 E-mail: endo(at)ibio.jp
長田准教授 電話:011-706-7332 E-mail: nosada(at)ist.hokudai.ac.jp