研究室の概要

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私達の研究室では、30年後50年後の未来の医療、薬物伝達、健康管理に向けた革新的基盤技術の創出を目指して研究しています。具体的な例として、私達が世界に先駆けて提案・実証してきた、光で駆動するナノマシンがあります。従来の電気で駆動するデバイスと異なり、光駆動は電源がいらないため赤血球よりも小さなデバイスが可能になります。私達も含め生体内の高い機能性は、そうした微小デバイスの様々な”動き”を生み出すナノマシンによって実現しています。そこで私達は生体に学び、運動性や自律性といった生体の様々な機能を模倣した光駆動ナノマシンの開発を行なっています。

 こうした研究は、バイオ、物理、化学といった枠を超えた学際性を有し、さらに未開拓で独創的であるため、進めるにあたって決まったレールはありません。当研究室では、学生一人一人の興味を可能な限り取り入れた研究テーマを設定し、教員と一緒に試行錯誤しながらこうした研究を創っていくことで、専門的な知識・技術だけでなく、創意工夫する力、他者に自分のアイデアを伝える力が身に付くように指導します。これにより、「分野にとらわれずに自分の専門性を応用して独創研究に挑戦し新しい価値を創造できる人」の育成を目指します。

研究内容の紹介

レーザービームを集光して光の運動量を制御することで生じる力作用(光圧)を利用した光ピンセットは、微小物体を操作できることから、生命科学における重要なツールとして2018年にノーベル賞を受賞しました。しかし、光の回折限界のため光の波長スケールより小さいナノ空間での操作が実現できず、また集光レンズを用いる必要性からリモート操作が難しいなど、ナノマシンの光駆動法として様々な課題点がありました。そこで私達の研究室では、サイズや形状を精緻にデザインした人工ナノ構造の特異な光学特性を光の運動量変化・光圧という独自の視点から研究し、レーザービームを集光する従来のアプローチでは実現できない特徴の新奇な光圧を探求し、その光圧が働くナノ構造を微小デバイスに作製することで光ピンセットでは難しい光駆動を可能にする、ナノ構造の光圧アクチュエータを開拓しています。その他にも、人工ナノ構造と光の相互作用に基づく以下の研究テーマに現在取り組んでいます。また、私達のいる電子科学研究所に附属するナノテクノロジー研究センターには世界屈指のナノテク設備が充実しており、これらをフルに活用して研究を進めています。

現在の主な研究テーマ

  • ナノ構造光圧アクチュエータが生み出す運動機能
  • 生体反応に応じて自律制御する光圧ナノアクチュエータ。
  • 光渦による生命ホモキラリティーの起源
  • ナノ構造の光制御に基づく光学浮上技術と超高感度センサ応用

研究設備の例

高精度光圧・光トルク計測システム、光伝搬角度分布イメージングシステム、定量的移送イメージングシステム、顕微分光システム、計算用ワークステーション

将来に役立つ知識や技術

微細加工技術

  • ナノ構造の設計・作製
  • 電子線描画装置、電子線ビーム蒸着装置、スパッタリング装置、ドライエッチング装置、走査電子顕微鏡等の操作法
  • クリーンルームの利用法

光計測制御技術

  • 光学システムの設計・構築
  • 電子デバイスの設計・作成
  • 自作プログラム(Python, LabVIEW, MATLAB等)によるシステム制御とデータ解析

シミュレーション技術

  • 有限要素法(FEM)や時間領域差分法(FDTD)を用いた3次元電磁場解析
  • 電磁場/温度/対流等のマルチフィジックス解析
  • 多変量解析や多重極子展開

このようなキーワードに興味がある人は、ぜひ、研究室見学に来てください。

光駆動ナノマシン/人工ナノ構造(プラズモニクス、メタマテリアル・メタサーフェス、フォトニック結晶)/バイオ・化学センサー/生命ホモキラリティー/ナノフォトニクス/光学/光圧/光マニピュレーション/光ピンセット/微弱力計測/光学浮上/光渦/軌道角運動量

所属教員

  • 教授:田中 嘉人
  • 助教:橋谷田 俊

お問い合わせ

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〒001-0021 札幌市北区北21条西10丁目

北海道大学 電子科学研究所(創成科学研究棟 02-305)

田中嘉人 電話: 011-706-9321, E-mail: ytanaka_at_es.hokudai.ac.jp