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研究室の概要

X線は、病院でのX線写真・X線CT、空港での荷物検査、金属の非破壊検査など、私たちの生活に密接に関わる多くの分野で活躍しています。X線は透過性が高いので、分厚い試料の内部をイメージングするのが得意です。また、試料が結晶や繊維という、原子や分子が規則的に並んだ構造をもっていれば、X線を使って原子の世界を可視化することができます。DNAの二重らせん構造が、X線回折の実験データを基に決められたのは有名な例です。今日では、生体を構成するタンパク質の原子構造が、X線を使って活発に調べられ、創薬にも大きく貢献しています。

開発した微細デバイスの走査電子顕微鏡による観察
微小結晶材料の作製

私たちの研究室では、さらに最先端のX線を使って、これまでには見ることのできなかった世界をイメージングする研究を行っています。研究では、大型放射光施設SPring-8X線自由電子レーザー施設SACLAといった、日本が世界に誇る研究施設を使っています。これらは、きれいな波のX線(コヒーレントX線)を使うことができる、世界でも数少ない研究施設です。北大の研究室では、北大オープンファシリティーにあるナノ加工・計測装置を駆使して、試料や測定装置の開発を行っています。また、高度な計算機技術を用いたシミュレーションや実験データの解析を行っています。

研究内容の紹介

X線回折顕微法による生体試料のナノ構造解析

タンパク質を結晶化してX線回折実験を行うと、原子レベルの超高分解能での構造解析が行えます。それでは、例えば細胞のように結晶化できない試料に対して、超高分解能での構造解析は可能でしょうか?

この可能性を開く方法が、きれいな波のX線(コヒーレントX線)を利用したX線回折顕微法です。X線回折顕微法では、レンズの代わりに計算機を利用して、試料の像を得ます。X線は透過性に優れているため、透過電子顕微鏡など他の顕微鏡では難しい、細胞内部の非破壊観察を可能にします。

X線回折顕微法の概念図と、測定によって得られたヒト染色体の輪切り像

超高速コヒーレントX線イメージング法の開発

高速で動く原子やナノの世界の動きを見るには、超高速度のカメラが必要です。動きの時間よりも短い発光時間のフラッシュで被写体を照明することにより、ぶれずに止まって見えるスナップ写真を撮影することができます。近年実現したX線自由電子レーザーは、分子が動く時間スケールよりも短い、フェムト秒(10-15秒)オーダーの発光時間を持っています。試料にX線自由電子レーザーを当てて、散乱したX線のパターンの時間ごとのスナップ写真を記録し、計算機で処理することにより、原子・分子の世界の動画撮影を目指しています。

研究に用いるX線施設の例
研究に用いる北大オープンファシリティーの装置の例

研究室の研究設備の例

  • 回転陰極X線発生装置
  • ナノ結晶作製装置
  • He-Neレーザー・コヒーレントイメージング装置
  • Linuxサーバ

将来に役立つ知識や技術

X線関連の研究に必要な技術と知識

放射光やX線自由電子レーザーなどの先端的X線を使った測定を行います。加えて、研究室やオープンファシリティーのX線発生装置を使います。研究を通じてX線科学や光学について学べます。測定では、幅広い試料を扱っているため、生物学、医学、物質科学などについて幅広い知識が得られます。実験を通じて、計測や機器制御について、広く技術を習得できます。

レーザー関連の研究に必要な技術と知識

フェムト秒パルスレーザーを用いた時間分解測定を行います。また、コヒーレントX線イメージングの手法開発では、実験室の可視光レーザーを用いた原理検証実験を行います。

ナノテクノロジー関連の研究に必要な技術と知識

フォトリソグラフィーやCVD等の技術を使って微細デバイスを加工します。また、各種の顕微鏡を用いて加工品の観察をします。北大オープンファシリティーに豊富に取り揃えられたナノテクノロジー関連の先端的装置類について、実験を通じて、広く技術を習得できます。

データ解析・機器制御に必要な技術と知識

C、Python、MATLAB、LabVIEW等を用いて、データ解析・機器制御に必要なソフトウェアを、自らプログラミングし開発します。開発にはLinuxサーバやGPUも用います。科学技術計算や機器制御プログラミングについて技術を習得できます。

機器設計に必要な技術と知識

Creo Elements/Pro、Vectorworks等のCADソフトウェアを用いた装置設計を行います。

このようなキーワードに興味がある人は、ぜひ、研究室見学に来てください。

生体イメージング/超高速イメージング/コヒーレントX線/放射光/X線自由電子レーザー/フェムト秒パルスレーザー/計算機プログラミング/ナノ加工/ナノ観察/フォトリソグラフィー/CVD/機器制御/機器設計

所属教員

  • 教授:西野 吉則
  • 助教:鈴木 明大

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お問い合わせ

住所:〒001-0021 北海道札幌市北区北21条西10丁目 創成科学研究棟 04-301
電話:011-706-9354
FAX:011-706-9355