北海道大学 大学院情報科学院 システム情報科学コース
ディジタル幾何処理工学研究室
Digital Geometry Processing Lab.

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鋳肌面・機械加工面認識と最適計測計画に基づく鋳造品の高品質リバースエンジニアリング



背景とねらい
ご存知のように,鋳造品は自動車におけるエンジン,水道管におけるバルブなど工業製品の幅広い分野で使われています.また現在,製品開発の効率化や製品の高品質化のために,非接触式三次元形状測定機を用いて得られた製品の計測データに基づいてソリッドモデルを生成するリバースエンジニアリング(RE)が重要となっています.そこで,鋳造品に対しても,現物の形状に基づく強度解析等の各種解析作業や寸法の確認といった目的でのREが実施されており,そのために鋳造品に対するより高効率なRE手法の確立が必要となってきています.しかし,REにより高品質なソリッドモデルを生成するためには,最適な計測位置姿勢からの効率的な計測による計測三角形メッシュの取得と,計測三角形メッシュからの高速かつ正確な曲面認識が必要となります.
そこで,高品質で利用しやすい鋳造品のソリッドモデルを計測に基づいて迅速に生成する技術の開発が必要となります.

CastRE_background_and_idea


手法概要
本研究では鋳造品の表面が要求精度の異なる鋳肌面と機械加工面から構成されていることに着目し,鋳肌面と機械加工面の分離に基づく面属性付きソリッドモデル生成手法と最適計測計画により,非接触式三次元形状測定機を用いた鋳造品の迅速なREの実現を試みます.

CastRE_Abstract_of_method


効果
提案する面属性付きソリッドモデル生成手法を鋳造品の計測三角形メッシュに適用した結果,メッシュ表面を鋳肌面と機械加工面に分離し,それぞれに適した曲面認識・整形処理を行うことにより,面属性付き整形ソリッドモデルを迅速に生成(従来手法と比較し作業時間を最大28%短縮)できることを確認しました.
また,提案する最適計測計画手法を計測シミュレーションにより評価した結果,提案手法は未計測部の計測面積や計測品質といった次の計測位置姿勢の性質を,パラメータにより調整可能であることを確認しました.

CastRE_Effect


関連論文など
  • 浦田昇尚,伊達宏昭,金井理,後藤孝行,安田星季,鋳造品の迅速リバースエンジニアリングに関する研究-計測三角形メッシュからの鋳肌面と機械加工面の分離-, 精密工学会誌,83, 5, pp.474-480, 2017.
  • 浦田昇尚,伊達宏昭,金井理,後藤孝行,安田星季,鋳造品の迅速リバースエンジニアリングに関する研究-鋳肌面と機械加工面の分離に基づく面属性付きの整形ソリッドモデルの生成-, 精密工学会誌,85, 3, pp.267-273, 2019.