研究内容

 

特に、無機ナノ材料を主に用いることによる高機能・高性能なデバイスの実現を目指しています。ここではただ単一なデバイスを作製するのではなく、集積デバイスシステムとしての可能性を示唆できるように材料からデバイス、そしてプロセス開発までを一括して研究を行っています。また一つの分野に固執するのではなく、異分野融合することによって面白い材料を使用した新しいデバイスの提案、実現を目指しています。さらに新しい材料を用いることによって得られるナノ材料の物性物理などの解析も行います。現在のターゲット分野は、集積回路、プロセス開発、ナノ材料、フレキシブルデバイス、ウェアラブルエレクトロニクス、トランジスタ、MEMS、マイクロTAS、電気生理学などであり、これらの分野を融合させることにより、全く新しいデバイスなどを提案できればと考えています。また上記以外でも新しい分野へどんどん挑戦していきたいと考えています。また今後はバイオや神経細胞分野の方との共同研究を探すことによって、細胞とエレクトロニクスのハイブリッドデバイスにも挑戦していきます。シミュレーション技術を駆使することで、ナノ材料の新奇物性探索や次世代半導体プロセスの糸口を探索する研究開発も積極的に実施しています。

マルチモーダルセンサシステム

Research1x

 現在注目が集まっているInternet of Things (IoT)(モノのインターネット)において様々な表面から情報を取得するセンサが今後必要になることは間違いなく、本分野での印刷技術による大面積センサシートの普及を試みています。特に、無機ナノ材料のユニークな物性及び電気的特性に注目し、その電子デバイス開発を行っています。またこの無機ナノ材料を大面積フィルム上に塗布形成する方法についても開発しています。このように新たに形成できた無機ナノ材料薄膜を用いて、次世代のフレキシブル集積回路、多機能フレキシブルセンサなどの研究開発を実施しています。これらのターゲットとして、人の健康状態及び建物の環境管理などに注目することで、デジタルヘルス分野での新たな方法の提案を模索しています。実用化も視野に入れた研究開発として、それぞれの新規デバイスを右図に示すような応用分野でデモ・実証試験することでその可能性を探索しています。

 さらに超スマートエコシステム実現には、上述のセンサ開発だけでなく、システムの検討も重要です。開発した多機能フレキシブルセンサに機械学習の一種であるリザバーコンピューティングを導入することで、データの瞬時解析を実現するエッジシステムの開発を目指しています。そしてマルチタスクを実現するアルゴリズムを開発することで、これまで当たり前であった「1センサ=1出力」という常識を打ち破り、「1センサ=X出力」を実現させ、低消費電力化やシステムの簡易化などを目指しています。

 そして開発したマルチモーダルセンサシステムを用いて、医学部や企業などと実証試験や実用化に向けた取り組みを行っています。実際、入院患者へ本センサを適用することで多種バイタル計測を行い、そのバイタルデータを解析するといった研究も行っています。さらにそこで得られたバイタルデータを瞬時解析する機械学習アルゴリズムの開発やそのスマートフォンへの実装を行うことでエッジシステムへと展開しています。将来的には遠隔医療や遠隔診断といったこれまでにないウェアラブルパッチとした応用展開を目指しています。