背景
計算機性能の向上とネットワークの充実は情報メディアの新たな可能性を生み出しています。例えば、Society5.0 を実現するための、サイバー空間とフィジカル空間の融合に向けた取り組みやメタバースと呼ばれる仮想空間での新たなコミュニケーション手段の創出が挙げられます。そこでは、マルチメディア解析を中心とする情報メディアに関する基盤技術が大きな役割を果たします。さらに、AI・ IoT・ビッグデータ解析といった革新的な技術は社会課題の解決に資するだけでなく、社会の在り方も大きく変えつつあります。 また、Society 5.0 が実現された社会の中では、IoT や AI によるモノのデジタル化の時代から、ヒトの 価値(意識や思考)のデジタル化の時代へシフトすることが予想されています。そのような社会では、多様な価値観(多様性)を理解・処理することにより、社会課題解決のための社会デザインやサービスの創出が可能な世界の実現が期待されており、情報メディア技術だけでなく、その社会を支える情報通信ネットワーク技術の持続的な発展が求められています。
研究領域
・情報メディア学:
サイバーフィジカル融合型社会の実現に向けた情報メディアの⾰新と深化
社会変革を先導すべく、情報メディア学の革新と深化を目指します。情報科学のみならず、多様な分野と連携し、医学、生体工学、脳科学、材料科学、地球・惑星科学、土木工学、農学等に存在する課題を解決します。得られた成果を社会に実装することで新たな価値を創出し、未来社会の実現に貢献します。情報伝達の基本原理として画像処理、映像処理、音響・音楽処理、自然言語処理等の理論を確立し、その応用研究として知識メディア処理、知識発見、ヒューマンインタフェース、コンピュータグラフィクス、 超臨場感技術、XR(Extended Reality)、メタバース、サイバーフィジカル等へと発展させます。
・情報通信システム学
サイバーフィジカル融合型社会の実現に向けた持続的成⻑可能な⾰新的通信ネットワーク技術
サイバーフィジカルの実現には膨大な量の情報を低遅延で伝送するネットワークが必要不可欠です。さらに、個⼈の求めるものに合わせたオンデマンドな情報通信と、より進化した情報サービスを今後将来にわたって継続的に発展させる上でも課題となる既存の通信システムの物理的限界、および消費電力増加を解決するために、光通信と無線通信の融合による革新的な通信ネットワーク技術を開発します。既存のフォトニックネットワークの性能限界の突破および超低電力通信システムの実現や、陸上のみならず海・空・宇宙など、多様な環境における安定した信頼性の高い無線通信技術の確立を目指します。また、IoT、D2D、M2M、MTC などと呼ばれるデバイス間通信ネットワークや V2X 通信、光無線通信などの社会実装検討、および、それらのデバイスを支える無線電力伝送について研究し、ローカル最適化の観点から SDGs に貢献します。

「情報メディアの革新と深化」・「持続的成長可能な革新的情報通信ネットワーク技術」
サイバーフィジカル解析に基づく、社会課題解決のための社会デザインやサービスの創出が可能な世界の実現