情報メディア環境学研究室の概要

情報メディア環境学研究室は「情報は環境だ!」を旗印に、新しいメディア技術で社会の仕組みと情報環境を革新することを目指しています。コンピュータの性能や規模は指数関数的に増加し続けています。そのパワーによって新しい情報メディア技術が生まれ、生活環境や産業構造を変えているのが今の社会です。私たちの研究室はデジタル映像の生成、新映像表現、情報可視化、音声メディア処理に代表されるデジタルメディア分野の新技術の研究とその活用を通して、近未来の情報メディア社会の実現に寄与することを使命として行動します。

目で見る研究紹介

新映像方式の研究

全周映像、3D映像など映像表現の新形式とその応用開拓を研究する。多数の写真や映像から任意視点の映像を合成するソフトウェアの研究から新しい映像システムの開発までを視野に入れて、ブロードバンド時代の斬新な映像表現を創造します。

物理ベースビジュアルシミュレーションとそのコントロール

物理現象を数値解析し、リアルなCG映像の生成を行います。特に、煙や炎、雲などの流体の表現に力を注いでいます。流体の動きはナビエ・ストークス方程式と呼ばれる偏微分方程式によってあらわすことができます。この方程式を計算機によって数値的に解くことで非常にリアルな動きを計算することができます。また、動きだけでなく、風や剣を振り回したときの音、いわゆる、風きり音も計算することができます。その一方、計算の結果、どのような動きが得られるかを予測することが困難である、という問題があります。映画やゲームなどでは目的の映像(演出効果)を表現する必要があり、このことは深刻な問題となります。私たちは、リアルな映像の表現と合わせて目的の映像を得るためのシミュレーションのコントロールに関する研究も行っています。参考映像として、リアルな映像表現とシミュレーションのコントロール、それぞれについての研究成果をまとめたものを用意しました。

本研究は以下の方々と共同で実施しています(順不同・敬称略):
西田友是(ドワンゴ・UEI Research)、佐藤周平氏(ドワンゴ・UEI Research) 、岩崎慶(和歌山大学)、楽詠コウ(コロンビア大学)、安生健一(OLM Digital)、岡部誠(電気通信大学)

効率的でリアルな輝度計算と編集

光学現象をシミュレーションして輝度計算を行うことで、リアルな陰影が表現されたCG映像を生成します。物体表面での光の反射だけでなく、空気中のホコリや雲、煙などの微小な粒子に光が当たることによって生じる散乱現象も扱います。こういった現象は、複雑な積分式を解く必要があり、一般に、高い計算コストがかかります。この計算をできるだけ高速に行う方法を開発しています。私たちの方法によって、数十倍から数百倍の高速化を達成できました。物理法則に従うことで、非常にリアル映像を生成できる反面、ユーザの思ったとおりの色合いを表現することは困難になります。そこで、私たちは、リアルな映像表現とあわせて、目的の陰影・色合いを表現するよう輝度計算のパラメータを逆算して自動調整する方法についても力を注いでいます。参考映像では、リアルな陰影表現と陰影の編集に関する研究成果をまとめてあります。

本研究は以下の方々と共同で実施しています(順不同・敬称略):
西田友是(ドワンゴ・UEI Research)、佐藤周平氏(ドワンゴ・UEI Research) 、岩崎慶(和歌山大学)、楽詠コウ(コロンビア大学)、安生健一(OLM Digital)、岡部誠(電気通信大学)

画像を用いたインタラクティブな3次元形状のモデリング

3次元物体をゼロから作成することは手間のかかる作業です。そこで、画像を利用して3次元の形状をモデリングする方法を模索しています。一枚の画像を入力とし、そこから3次元の形状を作り出します。ただ、一般に、一枚の画像から3次元構造を推定することは困難です。そこで、ユーザに補助的な操作をしてもらう、あるいは、物体の質感情報を利用することで、できるだけ簡単に、3次元モデルを生成する方法を研究しています。表面のはっきりした物体はもちろん、煙や炎、雲などといった形がはっきりしないものまで作り出すことに成功しています。参考映像にその成果をまとめています。

本研究は以下の方々と共同で実施しています(順不同・敬称略):
西田友是(ドワンゴ・UEI Research)、安生健一(OLM Digital)、岡部誠(電気通信大学)

デジタルファブリケーション

3Dプリンタの普及によって、個人レベルでいろいろなものを製作することができるようになりました。そこで、私たちも3Dプリンタを使って思い通りのオブジェやアート作品を作り出す方法を研究しています。特に透明物体によって屈折した光が織り成すパターンに着目した研究を進めています。連続な曲面形状を適切に設計することでより複雑なパターンを映し出す特殊なレンズや小さな棒状の透明なピースを組み合わせてイラストのようなパターンを映し出すパズルを作成することに成功しました。ユーザによって与えられた写真やイラストを実現するよう自動的にレンズ形状やパズルパターンが生成されます。

本研究は以下の方々と共同で実施しています(順不同・敬称略):
西田友是(ドワンゴ・UEI Research)、岩崎慶(和歌山大学)、楽詠コウ(コロンビア大学)

空間ユーザインタフェース

通常、計算機はマウスやキーボードを使って操作しますが、これらは2次元的な操作に限られますし、なにより人間の自然な動作とは言えません。そこで、キネクトなどの3次元形状の計測装置や超音波発生装置を使ってユーザの体や手の動きを直接3次元的に計測することで、人間の動作を直接認識し、より自然なインタラクションを実現する方法を模索しています。参考映像では、超音波センサを使ったジェスチャ認識システムとキネクトを使ったバーチャル試着システムをみることができます。