- 言語メディア学研究室
- メディア創生学研究室
- メディアダイナミクス研究室
- 情報メディア環境学研究室
- 情報通信ネットワーク研究室
- ワイヤレス情報通信研究室
- 情報通信フォトニクス研究室
- インテリジェント情報通信研究室
言語メディア学研究室
言語メディア学研究室は、AI、特に自然言語処理の研究を行っています。
伊藤先生は音声言語処理の専門家です。AIに人間らしさ、個性を感じさせるために必要な要素の分析、システムへの組み込みなどを研究しています。
ジェプカ先生は知識処理の専門家で、現在重要となっている機械倫理の問題を常識的知識と感情処理の観点から研究しています。
研究室の最終的な研究ゴールは、人間レベルの知恵を使用した人間レベルの対話システムの開発です。安全で自然な会話ができるAIとは何かを、最先端技術を用いて構築したシステムで実験的に探求しています。言語や文系の分野に興味がある学生が集まり、対話タイミング、記憶、暗黙知、ユーモア、隠喩などの難しい課題に挑戦し、トップ国際会議でも発表しています。一方、応用の面では対話型質疑応答システム、倫理判断アルゴリズム、ゲームシナリオの作成支援、家庭における安全な行動をするエージェント、AIによる漫才生成などが挙げられます。
アットホームな雰囲気で、人類の未来を決めるAIの良い面と悪い面、人間レベルの思考力を目指す研究ができる研究室です。様々な分野を融合する学際的な研究に取り組み、マルチモーダルな実世界への応用に向けて最先端のAIの問題を解決し、新たなアプローチを見つけ出すことを目指しています。G P Uマシン、ヒューマノイドロボットや防音室が装備されていて、研究室で作成されたデータ(倫理、暗黙知、政治バイアス、ダジャレ、隠喩など)やオープンソースのソフトウェア(感情処理、意味処理など)といった既存の研究成果を再利用できるため、研究を始めやすい環境が整っています。
多様性を重視して国籍、性別、研究背景、年齢の多様性を大切にしています。様々な国からの留学生が多く、外国人教員によるバイリンガルでの指導が可能です。言語は幅広いタスクに関わっているため、自分の興味に近いテーマを選びやすいです。卒業生は国内の大手企業や大学だけでなく、人間レベルのAIを目指しているDeepMindやArayaに就職しています。



メディア創生学研究室
メディア創生学研究室では以下の三つの班に分かれ、坂本教授、姜助教の指導の下、3次元映像システムや、新たなデジタルコンテンツの表現法、配信法などについての研究を行っています。
CGH(Computer Generated Hologram)班
CGH班は、主に次世代の立体表示技術について研究を行っている班です。本研究室ではCGHの実用化に存在する技術的課題を解決するために、リアルな立体像を写し出すためのレンダリング技術や、CGH作成における高速計算アルゴリズムの研究などを行っています。また、ホログラフィを表示する再生装置に関する研究も進められております。
CG(コンピュータグラフィックス)班
CG班ではコンピュータグラフィックスやVRなど、様々な分野や目的に応じた研究を行っています。
2D画像を用いた3D表示やモデリングに関する研究、VRを用いた研究など、幅広くCG分野を取り扱っています。
IH(情報秘匿)班
IH(Information Hiding)とは情報秘匿のことであり、デジタルコンテンツに特殊な情報を埋め込むことで、その利用や複製を制御,制限することや、秘密通信を実現することに関連する技術を指します。本研究室では主に電子透かしや、動画スクランブルに関連した研究を行っております。
私たちの生活の多くの部分が、インターネットを代表とするデジタル通信技術を用いることによって、様々な面からサポートされてきています。また、SNS、インターネットショッピング、TV会議などの様に、生活自体が多くの時間をインターネットの中で過ごすようになってきています。このようなサイバー空間での生活の仕方自体が新たなライフスタイルや社会構造のインフラとなってきています。この環境において我々は便利な生活を享受するとともに、今までになかった多くの問題が発生してきています。
本研究室では、このようなデジタル通信時代において、新たな将来の産業の種となるような研究や、現在またはこれから問題となるのであろう様々な課題の解決を研究しています。特に、3次元映像によるコミュニケーション、インターネット内における著作権の解決など、人間とコンピュータ、人間と人間のコミュニケーションにおける新たなメディア技術に関する研究を中心としています。



メディアダイナミクス研究室
メディアダイナミクス研究室は、本学副学長およびデータ駆動型融合研究創発拠点長を務める長谷山教授と小川教授の2名を含むスタッフ8名、総勢約50名のメンバーで構成されています。研究室史上、最大規模のメンバーが日々精力的に研究に取り組んでいます。具体的に、人工知能、コンピュータビジョン、マルチメディア信号処理、画像・音楽・映像解析、情報検索/推薦等に関する研究やその実社会応用を活発に推進しています。そして、AI分野のトップ国際会議や著名な学術論文誌へ採択されるなど、競争の激しいAI分野において、世界をリードする最先端研究を推進しています。また、異分野連携も活発に行っており、扱うデータは医用画像、脳活動情報、材料科学データ、社会インフラデータ、地球・惑星画像、スポーツ映像、SNS・Web等、多岐に亘ります。積極的に異分野連携を推進することで、様々な社会問題を解決し、未来の科学技術の発展に貢献することを目指しています。さらに、得られた研究成果を基にして、様々な産学連携の共同研究を実施しています。このように最先端AI技術の構築とその実社会応用を両輪で進める取り組みは、他に類を見ない独自性を誇ります。
是非、研究室HPより詳細をご覧ください。
メディアダイナミクス研究室では、最先端AI研究の成果が世界的に著名な国際会議、学術論文誌に数多く採択されています。
- 超汎用画像復元技術 信号処理分野世界1位 (他にも3、5、7位の論文誌・国際会議)
- 脳とAIの融合技術 マルチメディア分野世界1位 (他にも2~5、8位)
- データ特化型表現学習技術 人工知能分野世界2位 (他にも6、8位)
- 汎用ドメイン適応技術 コンピュータビジョンおよびパターン認識分野世界2位 (他にも5~7位)
- 脳活動情報からの嗜好推定技術 ヒューマンコンピュータインタラクション分野世界4位(他にも8位)
- 汎用推薦技術 データベースおよび情報システム分野世界4位
※順位はGoogle Scholar 2023より
また、積極的な異分野連携による共同研究成果がトップレベルの論文誌に掲載されるだけでなく、様々なメディアにも報道されています。
- 高度インフラ変状分析技術 土木工学分野世界7位 CACAIE
- 高度胃がんリスク識別技術 医療系 消化器・肝臓内科分野世界8位 WJG
- 医用画像蒸留技術 世界最古の科学雑誌Scientific Americanで紹介
- 新材料開発技術 Nature Indexで紹介
現在、発表論文数は研究院の中でトップとなるだけでなく、画像処理に関する世界最高峰の国際会議にて、当研究室の採択論文数が2年連続で世界1位となりました。また、博士課程進学者が多いことも特徴であり、全ての学生が日本学術振興会特別研究員やフェローシップ、民間の給付型奨学金等を受給しながら研究活動を行っています。



情報メディア環境学研究室
この研究室では、コンピュータグラフィックス(CG)を中心とした3次元映像メディアの表現と生成に関する研究を行っています。CG技術は現在、エンターテインメント分野だけでなく、社会のさまざまな分野で活用されています。しかし、3次元情報の操作は容易ではなく、多くのパラメータを人間が調整しなければなりません。また、CGによる精密な映像生成には長い時間がかかります。そのため、創作活動を支援する技術として、簡単に使いこなすことは難しいのが現状です。この研究室では、3次元空間の情報を自由に操作し、簡単にCG映像を作成するしくみを研究しています。具体的には、1. 物理ベースビジュアルシミュレーションとそのコントロール、2. 効率的でリアルな輝度計算と編集、3. 視覚心理と心理物理、4. 物理シミュレーションに基づく効果音の生成、5. デジタルファブリケーションなどの研究に取り組んでいます。アートやクリエイティブな現場での映像制作支援などのエンターテイメント応用だけでなく、CGを活用した人間の知覚の計算メカニズムの解明や知覚から得た知見に基づいた新たな計算技術の開発にも取り組んでいます。
情報通信ネットワーク研究室
無線通信システム、フレーズ音声認識システム、画像処理システムなど、無線・音声・画像システムに関する研究をコアとして、IoT技術とマルチメディア無線情報通信の融合に関する研究開発を推進しています。また、半導体集積回路設計を含むシステムレベル設計をアルゴリズム開発と相補的に進め、ハードウェア・ソフトウェアを含む各種アプリケーションのシステム実装について、より実践的に研究開発しています。
ネットワークを含めたアプリケーションレベルから、組込みデバイスおよび半導体集積回路まで、幅広くその実装も含めて研究を推進しています。
用途を絞った専用の集積回路を設計すれば高い性能が得られます。しかし、その際、処理自体の改変も重要となります。つまり、回路の性能を活かすためには、処理の依存関係やデータフローを再考する必要があり、この処理アルゴリズムと回路アーキテクチャの相補的検討が新たなブレイクスルーをもたらすと考えます。さらに、クラウドが発展した近年においては、処理をネットワーク上のどこで行うかという点も重要な観点になります。クラウドで処理するのか、端末やエッジで処理するのか、それによってデータの共有度やセキュリティなど、様々な要素を検討する必要があります。
これらの総合的な研究を通じて、私たちは最適な情報通信システムの設計・開発を目指しています。なお、ここではアプリケーションに触れていませんが、研究室では具体的なアプリケーションを想定して研究を推進しています。



ワイヤレス情報通信研究室
1)デジタルツインと大規模シミュレーションによる電波伝搬推定・高分解能数値モデリングと次世代伝搬特性評価技術の開発
次世代通信システムとして期待されている5Gや6G、IoT、ワイヤレス電力伝送等において、高信頼かつ高品質な通信環境を実現する無線回路設計のためスーパーコンピュータによるシミュレーションを行っています。
2)植込み型医療機器のEMI評価技術・新たな電波利用システムの安全評価技術
ペースメーカー等に代表される植込み型医療機器の電波に関する安全性の研究をしています。現在の電波防護の指針において、その評価の難しさから注意喚起にとどまっている植込み型医療機器の装着者に対する具体的な対策については、今後も継続的な調査・研究が求められています。新たな分野での電波利用システムが登場するスマート社会における安全・安心をささえる技術・研究に取り組んでいます。
3)次世代通信システムに向けたアンテナ開発
新たな無線通信システムの実現には、アンテナの開発が不可欠です.近年の通信容量増大に伴い、広帯域無線通信の需要が高まっており、これに対応する小形・広帯域アンテナの開発に取り組んでいます。また、未利用周波数帯である高マイクロ波帯やミリ波帯における新しい高速無線伝送方式に対応可能な高機能アンテナ技術に関する研究も進めています。
ワイヤレス情報通信研究室の研究テーマは、電波(マイクロ波、ミリ波、テラヘルツ波)を環境や人と調和して利用するための新技術であり、様々な電波利用システムのためのアンテナ、電波伝搬、ワイヤレス電力伝送、大規模電磁界シミュレーション、さらに、電波の生体安全性、医療機器EMI、電波の医療応用等について、研究・開発を行っています。
研究室では、理論と実験の研究手法、共に実力を持った学生を育成するように努めており、卒業生は、移動体通信事業者、電気メーカ、電力会社、自動車メーカ、医療器メーカ、放送局、IT関連企業や研究機関等に毎年順調に就職し今後の活躍が期待されます。
研究室のホームページは、学会参加やイベント、受賞のたびに更新しておりますので是非ご覧ください。

情報通信フォトニクス研究室
私たちの研究室では、急速に発展する情報社会を支える次世代の光通信技術の研究を行っています。超高速・大容量の光通信システムを実現することを目標としており、そのために必要な光ファイバやフォトニックデバイス、光コンピューティング技術といった分野の研究を進めています。
例えば、現在の技術では、1本の光ファイバの伝送容量は100Tbpsが限界とされていますが、私たちの研究室では、SDM(空間分割多重)伝送技術によってこの限界を突破することを目指しています。具体的には、マルチコアやマルチモードといったSDM技術を駆使して、新しい光ファイバや光デバイスの開発に取り組んでいます。
また、コヒーレント光伝送用の素子開発や、光デバイス設計手法の開発にも力を入れています。これにより、より低消費電力・低遅延な光通信システムの構築を目指しています。
さらに、最近では、情報を遠方に伝送するだけでなく、コンピュータ内部で光による情報伝送を行う光インターコネクト技術や、AI技術に必要な行列演算を光で行う光アクセラレータの研究開発も進めています。これらの技術は、将来の高速コンピューティングやAIの進化において重要な役割を果たすと期待されています。
情報通信フォトニクス研究室では、「楽しく世界レベルの研究を愉しみ、世界レベルの研究を通じて確かなキャリアパスにつなげる」ことをモットーに掲げ、伸び続ける情報通信需要に応えるため、光科学(フォトニクス)に焦点を当てた先端研究を展開しています。具体的には、既存の通信システムの物理的限界を打破するための革新的な光技術を用いた高速・大容量通信の実現、光技術とコンピューティングを融合させた効率的なデータ処理、および通信技術の低消費電力化による環境への負荷低減により、情報通信技術のさらなる進化と持続可能な社会の実現を目指しています。フォトニクス技術は、情報通信技術の持続的な発展において不可欠な要素ですが、その応用分野は通信分野だけではなく医療、エネルギー、センサー、エンターテインメントなど多岐に渡っています。「未来を照らす光(フォトニクス)の研究」に挑戦し、次世代の情報通信技術を共に創造しましょう。



インテリジェント情報通信研究室
皆さんの周りでは、目に見えない電波によって大量の情報が運ばれています。そして、皆さん自身も情報の送受信に電波を利用しています。1990年代に爆発的に普及した携帯電話/スマートフォンは、今や社会インフラとして我々の生活に必要不可欠な存在となっています。
また、無線LANを初めとするブロードバンド無線アクセスや、bluetoothなどの近距離無線通信、更にはETCやカーナビ、車々間通信などの高速移動体通信まで、社会の様々な場面で多種多様の無線通信技術が要求されるようになってきました。例えば、MIMOと呼ばれる技術は、使用する電波の周波数帯域幅が一定のままでも、達成できるデータ伝送速度を何倍にもできます。伝搬環境変化に適応的に対応しながら、複数の送受信アンテナ対であるMIMOシステムを用いて、最適送信ビーム形成や、最適受信信号検出処理の研究を行っています。
インテリジェント情報通信研究室は、携帯電話/無線LANなど身近な無線通信技術をより高性能/高効率にするための信号処理手法について研究し、チャレンジングな新技術を提案し続けています。
情報伝送に用いる電波の周波数を高くすることは、通信量を増大するために有効な方法です。近年では、その周波数は光の領域に近づいていて、従来の電波に対する技術だけでなく、光の技術も積極的に取り入れていく傾向が高まっています。当研究室でも、テラヘルツ帯と呼ばれる非常に高い周波数での無線通信技術や、電磁波の特性の一つで光の領域で検討されていた軌道角運動量と呼ばれる新しい伝送技術など、最新のトピックに対する研究を行っています。
テラヘルツ帯の広帯域信号により、極めて高速な通信が可能となりますが、その大きな減衰を補償するため、送受信側に超多素子から成るフェーズドアレーを設置したUltra-Massive MIMOが提案されています。
軌道角運動量は、電磁波の伝搬形態の一つで波面が螺旋状に形成されます。 電磁波の一波長内での整数値の位相回転量をモードと定義したとき、異なるモードの螺旋波は互いに直交すること利用して、理論上は無限の直交モードを生成することができます。

