- 言語メディア学研究室
- メディア創生学研究室
- メディアダイナミクス研究室
- 情報メディア環境学研究室
- 情報通信ネットワーク研究室
- ワイヤレス情報通信研究室
- 情報通信フォトニクス研究室
- インテリジェント情報通信研究室
言語メディア学研究室
言語メディア学研究室は、AI、特に自然言語処理の研究を行っています。
伊藤先生は音声言語処理の専門家です。AIに人間らしさ、個性を感じさせるために必要な要素の分析、システムへの組み込みなどを研究しています。
ジェプカ先生は知識処理の専門家で、現在重要となっている機械倫理の問題を常識的知識と感情処理の観点から研究しています。
研究室の最終的な研究ゴールは、人間レベルの知恵を使用した人間レベルの対話システムの開発です。安全で自然な会話ができるAIとは何かを、最先端技術を用いて構築したシステムで実験的に探求しています。言語や文系の分野に興味がある学生が集まり、対話タイミング、記憶、暗黙知、ユーモア、隠喩などの難しい課題に挑戦し、トップ国際会議でも発表しています。一方、応用の面では対話型質疑応答システム、倫理判断アルゴリズム、ゲームシナリオの作成支援、家庭における安全な行動をするエージェント、AIによる漫才生成などが挙げられます。
アットホームな雰囲気で、人類の未来を決めるAIの良い面と悪い面、人間レベルの思考力を目指す研究ができる研究室です。様々な分野を融合する学際的な研究に取り組み、マルチモーダルな実世界への応用に向けて最先端のAIの問題を解決し、新たなアプローチを見つけ出すことを目指しています。G P Uマシン、ヒューマノイドロボットや防音室が装備されていて、研究室で作成されたデータ(倫理、暗黙知、政治バイアス、ダジャレ、隠喩など)やオープンソースのソフトウェア(感情処理、意味処理など)といった既存の研究成果を再利用できるため、研究を始めやすい環境が整っています。
多様性を重視して国籍、性別、研究背景、年齢の多様性を大切にしています。様々な国からの留学生が多く、外国人教員によるバイリンガルでの指導が可能です。言語は幅広いタスクに関わっているため、自分の興味に近いテーマを選びやすいです。卒業生は国内の大手企業や大学だけでなく、人間レベルのAIを目指しているDeepMindやArayaに就職しています。
RESEARCH研究テーマ
個性を感じる人間らしい対話システム
対話システムはELIZAから現在までずっと研究されてきたテーマである。しかし、最新のLLMベースの対話システムでさえ、個性や人間らしさの本質を理解できてるとは言えない。人間の発言の意味、感情、冗談、嫌味を本当に理解し、正しくそれらを表現できる対話システムになってこそ、人間と対等な関係が構築できる存在感のあるAIになれるはずである。
AIの倫理問題と危険発見の能力をテストするためのデジタルホームによる実験
AIエージェントが現実世界で安全に活動できるかを調べるため、3Dシミュレーションによる「デジタルホーム」を使用し、複数の人間エージェントの物理的・言語的な行動や、そこからの言語獲得、最新のVision-Language Model(VLM)の反応を研究しています。実際の家庭には、子どもや大人、個人差、文化、ルールなど無数の要素があります。そこで、現在の生成AIが持つバイアスなどの問題を調べ、多様で現実に近い環境や住人を再現し、説明可能な次世代のAIモデルの開発を目指します。
AIエージェントに「経験」を与える ― Novelty Searchによる知識の獲得と共有
人は経験や環境によって、言葉の使い方も価値観も少しずつ異なります。ではAIに異なる「経験」を与えたら、何が起こるでしょうか。本研究では、同一の大規模言語モデル(LLM)に別々の物語を与え、正解も報酬も用いないNovelty Search(新規性探索)によって世代を重ねさせます。すると個性の差は世代ごとに広がり、「あなたはこういう性格です」と設定文で与えた場合の約1.6倍に達しました。対話させても多様性は失われません。性格は記述ではなく、経験の蓄積から生まれるのかもしれません。
AIが人間の価値観を尊重し、常識的な行動ができるかを調べるベンチマーク構築
現在の生成AIや、これから開発されるAIが、人間にとって望ましい判断や行動ができるかを調べるためには、信頼できるテストデータが必要です。例えば、子どもが暮らす家庭や学校の画像をAIに見せ、危険な場所や行動を発見し、安全な対策を提案できるかを調べます。また、文化や経験、画像に写った物によってAIの判断が変化するかを評価し、より安全で信頼できるAIの開発につなげます。
物語の論理的な流れ、意外性、感情変化から言語モデルの理解度を調べる研究
例えば、「子どもに靴を履かせてから靴下を履かせる」という行動の順序が非常識であることをAIは理解できるでしょうか。このような理解のために、大量の日本語の物語や会話データを作成し、AIに読ませることで、文章の順序や登場人物の行動、感情などをどこまで理解できるかをさまざまな実験で調べています。例えば、「次に何が起こるか」を予測させたり、誰が何をしたのかを分析させたりすることで、LLMの常識や文脈理解の限界を測定します。このデータをユーモアや創造性などの研究にも応用しています。
人間の脳や視線データとAIの「頭の中」を比較し、安全性を高める研究
AIが危険な行動と安全な行動をどのように区別しているのか、その内部の情報処理を調べています。LLMの内部表現を可視化するLogit Lensや、人間の脳活動・視線とAIの内部表現を比較する方法を用いて、AIが判断する仕組みを探ります。ブラックボックスになりがちな生成AIをより理解可能にし、現実世界で安全に使える新しいAIの実現へのヒントを得るため、認知科学や哲学など異分野の研究者とも共同研究しています。
メディア創生学研究室
メディア創生学研究室では、実社会にあふれる多様な情報を価値ある知識へとつなげることを目指し、データの収集・解析から理論的な理解に至るまで、多角的な視点から次世代のメディア技術の研究を進めています。深層学習や大規模言語モデルに代表されるAI技術は、現在、社会のさまざまな場面で活用されるようになっています。その一方で、AIが人と調和しながら社会の中で適切に機能するためには、現実世界の複雑な変化や、人間の行動・認知・感覚といった多面的な特徴を的確に捉えることが重要です。本研究室では、既存のデジタルデータを処理・分析するだけでなく、ドローンやロボットを活用した自律的なデータ収集技術、さらには視線や脳活動などの生体情報を計測するセンシング技術の研究にも取り組んでいます。これにより、従来は扱うことが難しかった情報もAIによる解析の対象とし、新たなメディア技術の可能性を切り開くことを目指しています。さらに、利便性の向上だけでなく、AIの振る舞いを数学的・理論的に理解するための研究や、社会実装に不可欠な信頼性・安全性の検証にも力を入れています。このように、理論と実践の両面から研究を進めることで、複雑な実社会の課題に対応できる、確かな基盤を持った知能システムの実現を目指しています。
最先端のMR・VRデバイスや自律走行を実現するドローンを完備し、現実世界とサイバー空間を高度に融合させる実験環境を構築しています。さらに、脳波や視線計測をはじめとする多彩な生体センサを駆使することで、人間の内面的な反応を精密に捉え、AIとの調和を探求するユニークな研究を可能にしています。こうした充実した設備と独創的なアプローチにより、研究成果はトップレベルの国際学会や権威ある論文誌に採択され世界的に高く評価されています。
RESEARCH研究テーマ
視覚・音響に基づく3D空間の理解と生成
3D空間を理解し、その構造や意味を人や機械が利用できる形で表現するAI技術に取り組んでいます。具体的には、3D空間における異なる視点からの映像生成、3D空間の評価、空間に応じた3Dオーディオ生成などを幅広く扱っています。これらを通じて、視覚と音響を統合しながら、実世界をより豊かに理解・再現できるAIの実現を目指しています。
LLMおよびMLLMの応用とメカニズム解明
近年、文章だけでなく画像や音声も扱えるマルチモーダル大規模言語モデル(MLLM)が目覚ましく発展しています。活用先は幅広く、当研究室でも画像・動画解析や検索、インフラ点検への応用を進めています。 一方で、AIが「なぜその答えを出したのか」という仕組みには未解明な点が多く、内部のブラックボックス化が課題です。そこで私たちは、AIの内部メカニズムに着目し、推論プロセスの解明や処理の効率化を目指して研究しています。
ウェアラブルセンサで計測した生体情報に基づく作業・動作の「上手さ」推定
身体に装着したモーションキャプチャデバイスで人の動きを計測し、AIで熟練度を分類する研究を進めています。地下鉄トンネルの点検作業やサッカーのプレーを対象に、関節の動きやつながりを解析し、熟練者と初心者の違いを捉えます。さらに、AIが分類の際に注目した身体の部位を可視化し、熟練度の段階的な違いも考慮することで、より正確で根拠の分かる分類を目指します。言葉だけでは伝えにくい熟練技術を見える形にし、若手技術者への技術継承やスポーツの上達支援技術の構築を目指しています。
元データから高性能な小規模データセットを蒸留
近年、深層学習モデルの高性能化に伴い、大量の学習データが必要となり、学習時間や計算コストが増大しています。そこで、大規模な元データの特徴や学習に重要な情報を少数の画像に凝縮し、少ないデータでも元データに近い認識性能を実現する「データセット蒸留」を研究しています。これにより、画像分類、動画の行動認識、文章分類などさまざまな下流タスクに、AIの学習や繰り返し実験を効率化できるほか、データの保存・転送コストの削減や、元データを直接共有しない学習への応用も期待できます。
ロボット・ドローンの自律化技術
画像や言語などの情報をもとに、ロボットやドローンが周囲の状況を認識し、自律的に行動するためのAI技術を研究しています。道路附属物点検では、深度推定とセグメンテーション技術を用いて、対象物との距離を保ちながら追従するドローンの自律制御を実現しています。また、アームロボット制御では、画像や言語から行動を生成するVision-Language-Action(VLA)モデルによる動作失敗の兆候を検出して行動を修正することで、安心・安全な自律動作の実現を目指しています。
手術動画・医用画像を理解するマルチモーダル医療AI
腹腔鏡下胆嚢摘出術などの手術動画を対象に、映像と言語を結び付けて理解するAIの研究に取り組んでいます。手術動画は長時間かつ複雑であり、専門医による詳細な注釈付けには大きな時間と労力が必要です。そこで、医用教育動画で事前学習した視覚言語モデルに、手術の時間的な流れを捉える軽量なモジュールを組み合わせることで、少ない教師データから手術フェーズや器具・対象・動作を認識し、手術シーンを解析する手法を研究しています。
メディアダイナミクス研究室
メディアダイナミクス研究室は、本学副学長およびデータ駆動型融合研究創発拠点長を務める長谷山教授と小川教授の2名を含むスタッフ8名、総勢約50名のメンバーで構成されています。研究室史上、最大規模のメンバーが日々精力的に研究に取り組んでいます。具体的に、人工知能、コンピュータビジョン、マルチメディア信号処理、画像・音楽・映像解析、情報検索/推薦等に関する研究やその実社会応用を活発に推進しています。そして、AI分野のトップ国際会議や著名な学術論文誌へ採択されるなど、競争の激しいAI分野において、世界をリードする最先端研究を推進しています。また、異分野連携も活発に行っており、扱うデータは医用画像、脳活動情報、材料科学データ、社会インフラデータ、地球・惑星画像、スポーツ映像、SNS・Web等、多岐に亘ります。積極的に異分野連携を推進することで、様々な社会問題を解決し、未来の科学技術の発展に貢献することを目指しています。さらに、得られた研究成果を基にして、様々な産学連携の共同研究を実施しています。このように最先端AI技術の構築とその実社会応用を両輪で進める取り組みは、他に類を見ない独自性を誇ります。
是非、研究室HPより詳細をご覧ください。
メディアダイナミクス研究室では、最先端AI研究の成果が世界的に著名な国際会議、学術論文誌に数多く採択されています。
- 超汎用画像復元技術 信号処理分野世界1位 (他にも3、5、7位の論文誌・国際会議)
- 脳とAIの融合技術 マルチメディア分野世界1位 (他にも2~5、8位)
- データ特化型表現学習技術 人工知能分野世界2位 (他にも6、8位)
- 汎用ドメイン適応技術 コンピュータビジョンおよびパターン認識分野世界2位 (他にも5~7位)
- 脳活動情報からの嗜好推定技術 ヒューマンコンピュータインタラクション分野世界4位(他にも8位)
- 汎用推薦技術 データベースおよび情報システム分野世界4位
※順位はGoogle Scholar 2023より
また、積極的な異分野連携による共同研究成果がトップレベルの論文誌に掲載されるだけでなく、様々なメディアにも報道されています。
- 高度インフラ変状分析技術 土木工学分野世界7位 CACAIE
- 高度胃がんリスク識別技術 医療系 消化器・肝臓内科分野世界8位 WJG
- 医用画像蒸留技術 世界最古の科学雑誌Scientific Americanで紹介
- 新材料開発技術 Nature Indexで紹介
現在、発表論文数は研究院の中でトップとなるだけでなく、画像処理に関する世界最高峰の国際会議にて、当研究室の採択論文数が2年連続で世界1位となりました。また、博士課程進学者が多いことも特徴であり、全ての学生が日本学術振興会特別研究員やフェローシップ、民間の給付型奨学金等を受給しながら研究活動を行っています。
MOVIE動画で見る
RESEARCH研究テーマ
視覚・音響に基づく3D空間の理解と生成
3D空間を理解し、その構造や意味を人や機械が利用できる形で表現するAI技術に取り組んでいます。具体的には、3D空間における異なる視点からの映像生成、3D空間の評価、空間に応じた3Dオーディオ生成などを幅広く扱っています。これらを通じて、視覚と音響を統合しながら、実世界をより豊かに理解・再現できるAIの実現を目指しています。
LLMおよびMLLMの応用とメカニズム解明
近年、文章だけでなく画像や音声も扱えるマルチモーダル大規模言語モデル(MLLM)が目覚ましく発展しています。活用先は幅広く、当研究室でも画像・動画解析や検索、インフラ点検への応用を進めています。 一方で、AIが「なぜその答えを出したのか」という仕組みには未解明な点が多く、内部のブラックボックス化が課題です。そこで私たちは、AIの内部メカニズムに着目し、推論プロセスの解明や処理の効率化を目指して研究しています。
ウェアラブルセンサで計測した生体情報に基づく作業・動作の「上手さ」推定
身体に装着したモーションキャプチャデバイスで人の動きを計測し、AIで熟練度を分類する研究を進めています。地下鉄トンネルの点検作業やサッカーのプレーを対象に、関節の動きやつながりを解析し、熟練者と初心者の違いを捉えます。さらに、AIが分類の際に注目した身体の部位を可視化し、熟練度の段階的な違いも考慮することで、より正確で根拠の分かる分類を目指します。言葉だけでは伝えにくい熟練技術を見える形にし、若手技術者への技術継承やスポーツの上達支援技術の構築を目指しています。
元データから高性能な小規模データセットを蒸留
近年、深層学習モデルの高性能化に伴い、大量の学習データが必要となり、学習時間や計算コストが増大しています。そこで、大規模な元データの特徴や学習に重要な情報を少数の画像に凝縮し、少ないデータでも元データに近い認識性能を実現する「データセット蒸留」を研究しています。これにより、画像分類、動画の行動認識、文章分類などさまざまな下流タスクに、AIの学習や繰り返し実験を効率化できるほか、データの保存・転送コストの削減や、元データを直接共有しない学習への応用も期待できます。
ロボット・ドローンの自律化技術
画像や言語などの情報をもとに、ロボットやドローンが周囲の状況を認識し、自律的に行動するためのAI技術を研究しています。道路附属物点検では、深度推定とセグメンテーション技術を用いて、対象物との距離を保ちながら追従するドローンの自律制御を実現しています。また、アームロボット制御では、画像や言語から行動を生成するVision-Language-Action(VLA)モデルによる動作失敗の兆候を検出して行動を修正することで、安心・安全な自律動作の実現を目指しています。
手術動画・医用画像を理解するマルチモーダル医療AI
腹腔鏡下胆嚢摘出術などの手術動画を対象に、映像と言語を結び付けて理解するAIの研究に取り組んでいます。手術動画は長時間かつ複雑であり、専門医による詳細な注釈付けには大きな時間と労力が必要です。そこで、医用教育動画で事前学習した視覚言語モデルに、手術の時間的な流れを捉える軽量なモジュールを組み合わせることで、少ない教師データから手術フェーズや器具・対象・動作を認識し、手術シーンを解析する手法を研究しています。
情報メディア環境学研究室
当研究室では、コンピュータグラフィックス(CG)を中核とした3次元映像メディアの表現と生成、人間の視知覚メカニズムの解明、そしてマルチメディアセキュリティに関する研究を行っている。現在、CG技術は社会の様々な分野で活用されているが、3次元情報の操作や精密な映像生成には膨大な手間と時間がかかるため、誰もが簡単に使いこなすことは難しいのが現状である。こうした課題に対し当研究室では、物理ベースビジュアルシミュレーションやリアルな輝度計算、物理シミュレーションに基づく効果音生成、デジタルファブリケーションなど、3次元空間情報を自由に操作して高品質な表現を簡単に生み出す仕組みを追求している。最大の特徴は、これら最先端のCG理論やシミュレーション技術に、視覚心理・心理物理学のアプローチを融合させ、人間の知覚特性に基づいた新たな計算技術を開発している点にある。さらに、ネットワーク社会に不可欠な情報ハイディング技術やプライバシー保護画像処理など、セキュリティ分野まで網羅している。クリエイティブな映像制作支援から人間の知覚メカニズムの解明、安全なメディア環境の構築に至るまで、「理論と実装の往復」を掲げ、未来を切り拓く実践的な研究を展開している。
RESEARCH研究テーマ
3D Gaussian Splatting表現を用いたコントラスト感度解析
3D Gaussian Splatting (3DGS) は、高品質な新規視点画像生成(novel-view synthesis)のための効率的な表現手法として、近年大きな注目を集めています。本論文では、3Dガウス表現におけるコントラスト感度を対象とした、オブジェクト空間での解析フレームワークを提案します。ガウス・プリミティブの解析的なフーリエ変換と投影スライス定理、投影されたガウス分布の空間周波数応答を推定します。この手法を中心窩レンダリングに応用し、視覚的品質を落とすことなく高速に画像を生成することを可能としています。この研究は東京科学大学との共同研究です。
CGによる水流のシミュレーションとコントロール
河川や滝のような定常的な流体の流れを制御するための新しい手法を提案します。流体が通過すべき目標点を指定することで、ユーザーが直感的に流体の動きを誘導することを可能とします。流体と地形の相互作用時に発生する斥力を利用して流れを動的に制御し、流体を目標点の周囲へと誘導します。提案法により、ユーザーは定常的な流体の流れを局所的に制御することができます。いくつかの事例を通じて本手法の有効性を示し、低計算コストで、視覚的にリアルかつユーザーの意図を反映した流体の動きを生成できるという利点を強調します。
CGによる夜間光害のフォトリアルシミュレーション
人工光源は私たちの日常生活を便利にしていますが、光害と呼ばれる深刻な問題も引き起こしています。本研究では、夜空における光害を効率的に可視化する新しいシステムを提案します。光害を可視化する場合には、地上の多数の光源を考慮する必要があり、計算コストが膨大になってしまいます。そこで、事前計算された分布に対して主成分分析と高速フーリエ変換を適用することで、光害の広がりを効率的に可視化します。また、光害を低減するために必要な都市光源の強度を求める逆問題を対話的に解く手法も開発しました。
質感の識別に関する大規模ユーザスタディ
人間が物体の「材質」をどのように見分けているのかを調べるため、CGを使って金属、ガラス、プラスチックなどの画像を作成し、人に材質の違いを見分けてもらう実験を行った。光沢や透明感などの違いに加えて、光の当たり方や物体の形も変化させた。その結果、材質の見え方は光の当たり方や物体の形に大きく影響され、特に光沢の判断には個人差が大きいことが分かった。また、画像の色や模様から人間の判断をある程度説明できるものの、それだけでは完全には説明できなかった。この結果をもとに、材質の見え方を研究するためのデータベースを構築した。
情報通信ネットワーク研究室
無線通信システム、フレーズ音声認識システム、画像処理システムなど、無線・音声・画像システムに関する研究をコアとして、IoT技術とマルチメディア無線情報通信の融合に関する研究開発を推進しています。また、半導体集積回路設計を含むシステムレベル設計をアルゴリズム開発と相補的に進め、ハードウェア・ソフトウェアを含む各種アプリケーションのシステム実装について、より実践的に研究開発しています。
ネットワークを含めたアプリケーションレベルから、組込みデバイスおよび半導体集積回路まで、幅広くその実装も含めて研究を推進しています。
用途を絞った専用の集積回路を設計すれば高い性能が得られます。しかし、その際、処理自体の改変も重要となります。つまり、回路の性能を活かすためには、処理の依存関係やデータフローを再考する必要があり、この処理アルゴリズムと回路アーキテクチャの相補的検討が新たなブレイクスルーをもたらすと考えます。さらに、クラウドが発展した近年においては、処理をネットワーク上のどこで行うかという点も重要な観点になります。クラウドで処理するのか、端末やエッジで処理するのか、それによってデータの共有度やセキュリティなど、様々な要素を検討する必要があります。
これらの総合的な研究を通じて、私たちは最適な情報通信システムの設計・開発を目指しています。なお、ここではアプリケーションに触れていませんが、研究室では具体的なアプリケーションを想定して研究を推進しています。
RESEARCH研究テーマ
リアルタイム音声特徴量抽出回路およびその可視化システム
音声認識などで利用される各種音声特徴量の基礎となるメルスペクトルを、内部構成を書き換え可能な半導体集積回路(FPGA)上で算出し、シングルボードコンピュータ(Raspberry Pi)上で可視化するシステムを開発しました。音声特徴量は、フレーズ音声認識、異常検知、特定音検出など、さまざまな用途に利用できます。私たちは、こうしたアプリケーションと、それぞれに適した回路実装の両面から研究を進めています。
LPWA (LoRa方式・920 MHz帯)の無線伝搬特性測定
低消費電力で長距離通信が可能で、IoT用途で利用されるLPWA無線LoRaについて、札幌テレビ放送(STV)の協力のもと、電測車を用いた通信実験を行いました。情報科学研究院棟屋上を送信地点とし、受信地点を江別市角山方面へ移動させながら測定し、最長11.8 kmでの通信を確認しました。さらに、周囲の建物やアンテナの高さが通信品質に与える影響を実環境で評価しました。
ワイヤレス情報通信研究室
1)デジタルツインと大規模シミュレーションによる電波伝搬推定・高分解能数値モデリングと次世代伝搬特性評価技術の開発
次世代通信システムとして期待されている5Gや6G、IoT、ワイヤレス電力伝送等において、高信頼かつ高品質な通信環境を実現する無線回路設計のためスーパーコンピュータによるシミュレーションを行っています。
2)植込み型医療機器のEMI評価技術・新たな電波利用システムの安全評価技術
ペースメーカー等に代表される植込み型医療機器の電波に関する安全性の研究をしています。現在の電波防護の指針において、その評価の難しさから注意喚起にとどまっている植込み型医療機器の装着者に対する具体的な対策については、今後も継続的な調査・研究が求められています。新たな分野での電波利用システムが登場するスマート社会における安全・安心をささえる技術・研究に取り組んでいます。
3)次世代通信システムに向けたアンテナ開発
新たな無線通信システムの実現には、アンテナの開発が不可欠です.近年の通信容量増大に伴い、広帯域無線通信の需要が高まっており、これに対応する小形・広帯域アンテナの開発に取り組んでいます。また、未利用周波数帯である高マイクロ波帯やミリ波帯における新しい高速無線伝送方式に対応可能な高機能アンテナ技術に関する研究も進めています。
ワイヤレス情報通信研究室の研究テーマは、電波(マイクロ波、ミリ波、テラヘルツ波)を環境や人と調和して利用するための新技術であり、様々な電波利用システムのためのアンテナ、電波伝搬、ワイヤレス電力伝送、大規模電磁界シミュレーション、さらに、電波の生体安全性、医療機器EMI、電波の医療応用等について、研究・開発を行っています。
研究室では、理論と実験の研究手法、共に実力を持った学生を育成するように努めており、卒業生は、移動体通信事業者、電気メーカ、電力会社、自動車メーカ、医療器メーカ、放送局、IT関連企業や研究機関等に毎年順調に就職し今後の活躍が期待されます。
研究室のホームページは、学会参加やイベント、受賞のたびに更新しておりますので是非ご覧ください。
RESEARCH研究テーマ
次世代ワイヤレス通信システムのための高機能平面アンテナ技術に関する研究
新たなワイヤレス通信システムの実現には、アンテナの開発が不可欠です。近年の通信容量増大に伴い、広帯域無線通信の需要が高まっており、これに対応する広帯域アンテナの開発に取り組んでいます。また、未利用周波数帯である高マイクロ波帯やミリ波帯における新しい高速無線伝送方式に対応可能な高機能平面アンテナ技術に関する研究も進めています。
in silico 解析と先端通信技術で挑む、人・電波のフロンティア研究
6Gやワイヤレス電力伝送などの次世代ワイヤレス技術を対象に、電波と人体・医療機器・生活空間との相互作用を明らかにする研究です。人体や空間をin silicoで再現するデジタルツインに、大規模シミュレーションやAI・GPU計算を組み合わせ、電波ばく露と人体の安全性、植込み型医療機器への電磁干渉などを解析します。電波の物理現象の解明から生体影響の予測までを探究し、電波を安全に使うだけでなく、医療や宇宙通信など新たなワイヤレスサービスへ活かすことも見据え、人と電波が共存する未来の設計につなげます。
情報通信フォトニクス研究室
私たちの研究室では、急速に発展する情報社会を支える次世代の光通信技術の研究を行っています。超高速・大容量の光通信システムを実現することを目標としており、そのために必要な光ファイバやフォトニックデバイス、光コンピューティング技術といった分野の研究を進めています。
例えば、現在の技術では、1本の光ファイバの伝送容量は100Tbpsが限界とされていますが、私たちの研究室では、SDM(空間分割多重)伝送技術によってこの限界を突破することを目指しています。具体的には、マルチコアやマルチモードといったSDM技術を駆使して、新しい光ファイバや光デバイスの開発に取り組んでいます。
また、コヒーレント光伝送用の素子開発や、光デバイス設計手法の開発にも力を入れています。これにより、より低消費電力・低遅延な光通信システムの構築を目指しています。
さらに、最近では、情報を遠方に伝送するだけでなく、コンピュータ内部で光による情報伝送を行う光インターコネクト技術や、AI技術に必要な行列演算を光で行う光アクセラレータの研究開発も進めています。これらの技術は、将来の高速コンピューティングやAIの進化において重要な役割を果たすと期待されています。
情報通信フォトニクス研究室では、「楽しく世界レベルの研究を愉しみ、世界レベルの研究を通じて確かなキャリアパスにつなげる」ことをモットーに掲げ、伸び続ける情報通信需要に応えるため、光科学(フォトニクス)に焦点を当てた先端研究を展開しています。具体的には、既存の通信システムの物理的限界を打破するための革新的な光技術を用いた高速・大容量通信の実現、光技術とコンピューティングを融合させた効率的なデータ処理、および通信技術の低消費電力化による環境への負荷低減により、情報通信技術のさらなる進化と持続可能な社会の実現を目指しています。フォトニクス技術は、情報通信技術の持続的な発展において不可欠な要素ですが、その応用分野は通信分野だけではなく医療、エネルギー、センサー、エンターテインメントなど多岐に渡っています。「未来を照らす光(フォトニクス)の研究」に挑戦し、次世代の情報通信技術を共に創造しましょう。
RESEARCH研究テーマ
長距離・大容量通信のための次世代光ファイバ
インターネットのデータ通信量の急増に伴い、従来の限界を超える新しい光ファイバが求められています。そこで注目されているのが、1本のファイバ内に光の通り道を複数つくる「空間分割多重」技術です。具体的にはマルチコアファイバなどが代表例で、光信号が通過する「コア」を増やすほど、送信可能なデータ量を増やすことができます。しかし、コア同士が近いと光が混ざり合って干渉してしまうため、このような混信を防ぎつつ通信性能を高めることができる新しいファイバの設計に取り組んでいます。
コヒーレント光通信のための光トランシーバ
生成AIなどの普及で急増するデータ通信を支えるため、大容量で省エネなシリコン光トランシーバが求められています。このデバイスは、光の波の位相や振動方向(偏波)を利用する「コヒーレント光通信技術」によって、伝送可能な情報量を大幅に増やすことができます。波長や偏波ごとに異なるデータを載せる波長多重デバイスや偏波多重デバイス、光の位相情報を電気信号に変換するために必要な光90度ハイブリッドといった部品の小型化・高性能化に取り組んでいます。
半導体デバイスの性能限界を打破する光演算デバイス
身の回りの半導体デバイスは、小型化の物理的な限界を迎えており、新たな技術が求められています。その限界を破るため、既存の電子回路と光通信技術を組み合わせた「光電融合技術」によるデバイス動作の高速化や消エネ化が期待されています。さらに将来的には、光だけで電子回路のように演算を行う「全光制御技術」の実現も期待されています。具体的には、光の経路を制御可能なプログラマブル光回路や、光で光をコントロールする光トランジスタなどの開発に取り組んでいます。
インテリジェント情報通信研究室
皆さんの周りでは、目に見えない電波によって大量の情報が運ばれています。そして、皆さん自身も情報の送受信に電波を利用しています。1990年代に爆発的に普及した携帯電話/スマートフォンは、今や社会インフラとして我々の生活に必要不可欠な存在となっています。
また、無線LANを初めとするブロードバンド無線アクセスや、bluetoothなどの近距離無線通信、更にはETCやカーナビ、車々間通信などの高速移動体通信まで、社会の様々な場面で多種多様の無線通信技術が要求されるようになってきました。例えば、MIMOと呼ばれる技術は、使用する電波の周波数帯域幅が一定のままでも、達成できるデータ伝送速度を何倍にもできます。伝搬環境変化に適応的に対応しながら、複数の送受信アンテナ対であるMIMOシステムを用いて、最適送信ビーム形成や、最適受信信号検出処理の研究を行っています。
インテリジェント情報通信研究室は、携帯電話/無線LANなど身近な無線通信技術をより高性能/高効率にするための信号処理手法について研究し、チャレンジングな新技術を提案し続けています。
情報伝送に用いる電波の周波数を高くすることは、通信量を増大するために有効な方法です。近年では、その周波数は光の領域に近づいていて、従来の電波に対する技術だけでなく、光の技術も積極的に取り入れていく傾向が高まっています。当研究室でも、テラヘルツ帯と呼ばれる非常に高い周波数での無線通信技術や、電磁波の特性の一つで光の領域で検討されていた軌道角運動量と呼ばれる新しい伝送技術など、最新のトピックに対する研究を行っています。
テラヘルツ帯の広帯域信号により、極めて高速な通信が可能となりますが、その大きな減衰を補償するため、送受信側に超多素子から成るフェーズドアレーを設置したUltra-Massive MIMOが提案されています。
軌道角運動量は、電磁波の伝搬形態の一つで波面が螺旋状に形成されます。 電磁波の一波長内での整数値の位相回転量をモードと定義したとき、異なるモードの螺旋波は互いに直交すること利用して、理論上は無限の直交モードを生成することができます。
RESEARCH研究テーマ
電波の「デジタルツイン」をAIで描く
6Gでは自動運転車やドローンなど移動体が高信頼な無線通信を必要としますが、電波の届き方は建物や地形に左右され、事前に知ることは困難です。私たちは、電波が届きやすい場所・届きにくい場所を地図として可視化する「チャネル知識マップ」を研究しています。少数の観測データと3次元地図から、電波伝搬をグラフ構造として表現し、深層学習で未観測地点の電波強度を高精度に推定する技術を開発しました。基地局の配置や通信経路の事前計画に役立ち、途切れない高速な無線通信の実現につながります。
「意味」を伝える無線通信:自動運転のためのセマンティック通信
自動運転車は周囲のカメラ映像を車両間や路側機と共有することで、死角や遠方の危険を把握できます。従来の映像伝送は画素を忠実に届けることを目的とするため、電波状態が悪化すると映像が途切れ、通信量も膨大になります。私たちは、深層学習で画像の圧縮と誤り耐性を同時に学習し、物体検出などのタスクに必要な「意味」だけを優先して伝えるセマンティック通信を研究しています。少ない通信量でも認識精度が落ちにくく、劣悪な電波環境でも品質がなめらかに低下する新しい映像伝送を目指しています。