研究を通じて、自身の「枠」を拡げよう
情報エレクトロニクス専攻 量子情報エレクトロニクス講座
量子結晶フォトニクス研究室
博士後期課程2年
堀 祐臣(北海道札幌市出身、2011年度入学)
私が所属する研究室は、化合物半導体を材料とした新しい半導体デバイスの研究開発を行う、いわゆる「実験系」の研究室です。量子集積エレクトロニクス研究センターという一つの建物に情報エレクトロニクス専攻の5研究室・計50人程度の学生・研究員が集まるにぎやかな環境で、実験設備や居室をシェアしながら研究を行っています。
私の研究テーマは、「窒化ガリウム(GaN)系化合物半導体を用いた次世代パワートランジスタの実現」です。パワートランジスタとは、その名の通りエレクトロニクス機器の電源部で利用されている半導体素子のことです。電車やハイブリッド自動車などのモーターを駆動するための大型電源や、身近なところではノートパソコンや携帯電話の小型の電源アダプタなどにも用いられています。現在はシリコンを主な材料として作られていますが、これをGaN系半導体で置き換えることで電源部のさらなる小型化・低損失化が期待できます。私達の研究室では、GaN系半導体の加工からトランジスタの作製、特性評価までを自分達の手で一貫して行っています。
GaN系半導体は次世代パワーエレクトロニクス産業の要であり、多くの企業・研究機関の注目を集めています。そのため、学会発表や共同研究を通じて研究者の方々と交流する機会も多く、実際に自分達の研究成果の一部がある企業の製品に採用されたというお話を聞いたときは、とても嬉しく思いました。 br> また、研究者との交流は国内のみにとどまらず、海外に向けても積極的に行っています。先日、札幌で開催されたGaN系半導体に関する国際学会(International Workshop on Nitride Semiconductors 2012)では、国内の各大学と協力して学生の主催による若手研究者向け交流イベント「World Student Workshop」を企画しました。世界中から100人以上の学生が参加し、各研究室の紹介ポスターやお酒、ビンゴゲームなどを通じて交流しました。自身の研究成果は技術を身に付けるだけでなく、このように研究者との交流の枠を拡げることにも役立てると実感できた、非常に良い機会でした。