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ネットジャーナル27

マクロスケールからミクロスケールまでを対象に
環境と人間に寄与するデジタルエンジニアリング技術の開発

写真:博士(工学)金井 理 教授

情報科学研究科 システム情報科学専攻 
システム創成情報学講座 システム情報設計学研究室・教授
博士(工学) 金井 理

プロフィール

1982年、北海道大学 工学部 精密工学科卒。1984年、同大工学研究科 精密工学専攻修了。以後、同大工学部 精密工学科助手、東京工業大学機械工学科助教授を経て、2007年同大学院情報科学研究科 システム情報科学専攻教授に就任。研究テーマは大規模環境3次元レーザ計測、CAD、デジタルエンジニアリング、形状モデリングなど。IEEE、精密工学会、日本機械学会、日本設計工学会、地理情報システム学会 所属。

早急な対応が求められる社会インフラの老朽化
施設の維持管理に役立つ大規模環境の3次元計測

――大規模環境の3次元計測とはどのようなものですか。

金井 システム情報設計学研究室では、長年3次元CADの研究、主にリバースエンジニアリング(製品・部品を3次元で計測しコンピュータ上に3Dモデルを生成する技術)を扱っています。この技術は自動車や電化製品など工業製品の設計や評価に使われることが多かったのですが、近年は土木建築の分野でも活用されるようになってきました。土木建築分野で求められているのは、中・長距離レーザ計測で得られる地表面や市街地、屋内環境の表面を離散的に計測した大規模点群データから、特定の種類の物体を自動で認識する技術です(解説1)。ここに私たちの研究内容が応用できると考え、3年ほど前から本格的に取り組んでいます。

大規模環境の3D計測が注目されている背景には、高速道路やトンネル、橋といった社会インフラの老朽化問題があります。2012年に起きたトンネルの天井落下事故が示すように、日本の高度成長期に建設された社会インフラの多くは急速に老朽化が進んでいます。また、化学工場などの大型プラントも同様で、老朽化に起因する事故が最近増加しています。今後、いかにして安全性を担保しつつ、計画的な維持管理と改修によって施設の長寿命化を図るかが社会的に大きな課題となっています。社会インフラやプラントの計画的な維持管理・改修のためには、今後、施設の現況を反映した(as-built)な3次元モデルを構築し、施設管理や改修履歴情報をモデルの属性として付加して長期管理することが不可欠となります。こうした社会的ニーズに応えるのが大規模環境の3D計測とモデリング技術であり、私たちの取り組んできたリバースエンジニアリングの技術がその問題解決に役立つと期待されています。

このような大規模環境の3次元モデリング技術は土木建築だけでなくさまざまな分野で研究されていますが、これまで色々な学会がそれぞれ独自の視点で研究を行っており、相互の連携は十分とは言えませんでした。社会インフラの老朽化への対応は急務であり、優れた技術を速やかに実用化することが求められるため、我々が中心となり精密工学会内に専門委員会を2年前に新たに設置し、土木情報、建築情報、ロボティクス、画像処理、写真計測などの研究者、また建設、土木、プラント、測量、レーザ計測機、ソフトベンダーなどの企業技術者と産学連携を現在進めています。

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