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ネットジャーナル28

多種多様なシステムを連携させ恒常性の維持を実現する
拡張Flockingアルゴリズムの開発と応用

写真:博士(工学)金井 理 教授

情報科学研究科 複合情報学専攻 
複雑系工学講座 調和系工学研究室・教授
博士(工学) 鈴木 恵二

プロフィール

1993年、北海道大学大学院工学研究科精密工学専攻博士課程後期修了。1993年、北海道大学工学部精密工学科精密機器学第一講座助手。1995年、北同工学部システム情報工学専攻複雑系工学講座助教授。2000年、公立はこだて未来大学 教授。2004年、同教授。2008年、北海道大学大学院情報科学研究科教授に就任。専門分野は知能情報学、複雑系、自律システム、観光情報など。計測自動制御学会、人工知能学会、精密工学会、日本OR学会、日本ロボット学会、日本機械学会、国際学会、観光情報学会等に所属。

群行動を定式化するFlockingアルゴリズムを
システムの全体最適化と恒常性の維持に利用

――調和系工学研究室では幅広く多彩なテーマを扱っていますね。

鈴木 私自身がいろいろなことに興味があり、新しいものを積極的に取り入れていこうというスタンスなのですが、コンピュータそのものもわずか数十年の歴史しかなく、新しいことにチャレンジしやすい分野です。多様な意見や立場、利害が絡む現代社会は、たった一つのやり方ですべての問題が解決できるわけではなく、さまざまな考え方や手法を使い分けたり組み合わせたりする必要があります。実社会で求められるサービスを実現するため、コンピュータの技術を柔軟に活用して「調和のとれたシステム」を構築するのが本研究室の目指すところであり、コンピュータの広がりに伴って生まれてくる新しい技術や手法を幅広く取り入れることが重要だと考えています。

――その中で、現在はどのような研究に取り組んでいるのですか。

鈴木 群ロボットやマルチエージェントシステムに関する研究で、「Flocking(フロッキング)アルゴリズム(解説1)を用いたロボット制御」を扱っています。Flockingアルゴリズムとはそもそも鳥や魚の群行動を定式化したもので、映画のVFXなどで群集を描画するときに使われたりします。群ロボットの制御にも応用されていますが、私が取り組んでいるのは一体のロボットの動きをFlockingアルゴリズムで制御するものです。

この研究の目的は「全体最適化」です。現代は社会の隅々にまでコンピュータが使われ、多種多様なソフトウェアがシステムを動かしています。「ソフトウェアが世界を回す」という言葉があるほど、金融、流通、運輸、エネルギー等々ありとあらゆる分野で複雑かつ大規模なコンピュータシステムが稼働しています。しかし、個々のシステムはそれぞれに最適化されていても、他分野のシステムとの関わり、あるいは社会全体として見た場合の調和やバランスまで考慮されているとは限りません。何かトラブルがあっても、どのシステムのどの箇所に原因があるのかを突き止めることさえ困難な場合もあります。

生物の世界では、内部や外部の環境が変化しても全体の状態を一定に保つようにする働きがあります。恒常性の維持(ホメオスタシス)と言いますが、私の研究もこれと同じように、個々に部分最適化されたシステムが互いの関係性を認識し、連携しながら全体最適化を目指すものです。ロボットの腕や脚などの動きを個別に制御して部分最適化を確保しつつ、ロボット全体の動きを常に正常に保つための仕組みづくりにFlockingアルゴリズムが応用できるのではないかと考えています。

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