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ネットジャーナル47

IoT/CPS時代の次世代システム制御理論の構築
エネルギー問題の解決にも役立つ新しい理論を目指して

写真:博士(工学) 小林 孝一 教授

情報科学研究科 システム情報科学専攻
システム創成学講座  システム制御理論研究室・准教授
博士(工学)  小林 孝一

プロフィール

1998年法政大学工学部システム制御工学科卒業。2000年同大学院工学研究科システム工学専攻修士課程修了。2000年〜2004年新日本製鐵株式会社勤務。2007年東京工業大学大学院情報理工学研究科情報環境学専攻博士後期課程修了、博士(工学)。2007年北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科助教を経て、2015年より北海道大学大学院情報科学研究科准教授。計測自動制御学会、システム制御情報学会、電気学会、電子情報通信学会、IEEEの会員。

遺伝子ネットワークの制御問題を効率的に計算

――小林先生の主な研究テーマについてお聞かせください。

小林 システム制御理論は、エアコンの温度設定などのように私たちの身近なところで使われています。私の研究では,システム制御理論をベースに、遺伝子ネットワークの制御、ハイブリッドシステム、エネルギー管理システムへの応用展開など、社会のさまざまな場面に役立つ理論の構築を目指しています。

まず、遺伝子ネットワークの制御について説明します。がんなどの病気は、遺伝子レベルでみると細胞内の特定の遺伝子が発現することによって細胞ががん化して広がります。遺伝子には相互作用があるので、がんに関する遺伝子を直接調整することができなくても、周辺の関連する遺伝子に何らかの調整を加えると、がんの遺伝子の活動を抑制できると考えられています。私たちは、遺伝子の発現や相互作用の数理モデルを用いた基礎理論を研究しています。がん細胞の活動をどうやって抑えるかという研究はすでに多くの研究者が取り組んでいますが、遺伝子数が多い場合、モデルが複雑になり、普通のパソコンでは計算が困難になります。私たちの研究では、ブーリアンネットワークによるアプローチを取り入れ、従来よりも処理を簡略化することを可能にしました(解説1)。

この手法の特徴は、ブーリアンネットワークの演算部分を無視してグラフ構造だけを見て制御できるかどうかを判定することです。演算の部分を見る必要がないので計算はかなりシンプルになります。近似的な解ではありますが、ある程度の予測を立てることができるので、すべての組み合わせを網羅して計算するよりはかなり高速化できます。他にも、確率的な挙動をもつブーリアンネットワークの制御、条件を満足するブーリアンネットワークを生成する逆問題などに取り組んでいます。これらの研究成果はAutomatica (Special issue on systems biology)、IEEE/ACM Transactions on Computational Biology and Bioinformaticsなどに掲載されています。

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