次世代光学技術を支える新たな「目」
情報エレクトロニクス専攻 先端エレクトロニクス講座
光エレクトロニクス研究室 博士後期課程3年
野澤 仁 (富山県富山市出身、2016年度入学)
現在,光ファイバ,ブルーレイディスク,カメラ,顕微鏡など光学技術を応用した製品は私たちの生活に必要不可欠なものとなっています.これらの技術は,光の「強度」を制御するものがほとんどですが,近年光の波としての情報である「位相」という新たな自由度を加えた「光複素振幅」を制御する研究が様々な分野で注目されています.しかし,「位相」は目で見ることができないので,高精度に制御するには可視化する必要があります.私たちの研究室ではこの見えない「位相」を検出できる光計測技術を始め,「位相」を制御した高性能な生体計測技術,光通信技術,光メモリ技術などについて研究を行っています.
私は、これらの中で「位相を可視化するための高精度な計算方式」について研究しています。位相を可視化するには,目に見えない「位相」を目に見える「強度」に変換してからカメラで画像を取得し,計算機で画像処理を行う必要があります.私はこの画像処理に使用する数式を独自に開発し,C言語を用いた数値解析や光学素子を用いた実験でその有効性について検証しています.
研究の成果は、主に国内外で開かれる学会で発表します(図1)。内容が秀逸なら、論文誌への投稿や国際特許の申請を行うときもあります。学会では自分のアイデアを相手に伝え様々な人と議論を行うことができる貴重な場です.英語の能力もある程度必要ですがしっかりと準備していけば意志疎通できるので非常に良い経験になります.
私たちの研究室は学生が主体となって研究を行う方針のため,基本的にコアタイムはありません.学生それぞれのペースで研究を行います.しかし,3ヶ月に1回の研究報告会と毎週1回のゼミでは精力的に先生方や学生と議論を交わしています.研究以外では,外部生や卒業生,留学生の方が来研されることが多く,その都度歓迎会や飲み会を開催しています(図2).また,学生が企画した食事会や旅行なども定期的に開催しているため毎日充実した学生生活を送っています.