8年目の研究活動振り返り

メディアネットワークコース
博士課程3年
加瀬 裕也 (北海道上川郡当麻町出身、2019年度入学)
7年前、私は、携帯電話やスマートフォンの通信で使用されている電波は、基地局から全方位に同心円状に飛んできていると思っていました。実際は、受信した電波がどの方向から来たのかを推定して、ほかの方向にいるユーザに干渉しないよう、推定された方向にだけ送信しています。この話を聞いて、電波の到来方向推定の研究に興味を持ちました。私が旭川高専電気情報工学科5年(学部2年相当)のときに、卒業研究のテーマを決めたきっかけです。
翌年、同校専攻科に進学した私は、指導教員の勧めで現所属のインテリジェント情報通信研究室に1ヶ月間インターンシップで通い、修士課程の学生に混じって大学の研究活動を体験しました。このときに感じた先生方の雰囲気や学生の知識の豊富さ、充実した研究環境に惹かれて進学を決め、修士課程から北大に入学し、現在に至ります。
旭川高専では遺伝的アルゴリズムを到来方向推定に応用する研究を行っていましたが、現在は深層学習を到来方向推定に応用する研究を行っています。電波の到来方向推定は、先程取り上げた移動通信におけるユーザの位置推定以外にも、車からの歩行者検知や違法電波の追跡、衛星観測など、様々な分野に応用される基本的な技術です。従来手法では推定が難しいシチュエーションにおいて、深層学習を適用することで推定精度を向上できないかを探っています。
Fortran、C言語を経て、現在はPythonを研究に使用しています。本研究室ではPCによるシミュレーションが主なので、学生は場所を問わず、各々のペースで研究を進めています。COVID-19の影響で、昨年度からは毎週行っているゼミも国内外の学会発表もすべてオンラインとなり、学生間で直接雑談する機会や開催地に赴く楽しみは残念ながら大きく減ってしまいました。その代わりに、学会発表にはより気軽に参加できるようになったと思います。研究室の恒例行事として歓送迎会や焼き肉、温泉旅行なども行っていましたが、同様に自粛が続いています。再開できる日が来ることを祈るばかりです。

