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がん細胞はどれだけ息苦しい? 〜酸素分布を可視化〜

Pic:大場 光紗さん

情報科学専攻生体情報工学コース 磁気共鳴工学研究室
博士課程2年

大場 光紗(広島県広島市出身、2024年度入学)

 がんは日本人の死亡原因の多くを占めています。腫瘍組織の酸素分圧 (pO2) は腫瘍の悪性度を示す指標であることから、pO2の分布が分かればがんの診断や治療に貢献できると期待されています。私たちの研究室では電子スピン共鳴イメージング (ESRI) の技術を用いて腫瘍組織のマッピングに取り組んでいます。ESRIは病院で用いられている磁気共鳴イメージング (MRI) と似た技術で、不対電子 (ペアがいない電子) が吸収するマイクロ波を計測することで体に傷をつけずにpO2分布を捉えることができます。

 私は、連続波 (CW) ESRを用いてpO2を高精度に計測する手法の開発に取り組んでいます。ESRIには瞬間的にマイクロ波を照射するパルスESRと連続的にマイクロ波を照射するCW-ESRの2つの方法があります。私たちの研究室で用いているCW-ESRはpO2が高い領域も可視化できるメリットがあります。ESRIではpO2が生体内の酸素を観測するために分子プローブを投与しています。しかし、計測される不対電子のマイクロ波吸収は投与した分子プローブ濃度の影響を受けてしまい、正確なpO2を計測することができません。pO2とともにプローブ濃度も推定することで正確なpO2を推定する手法を構築することが私の現在の研究課題です。

 私はアメリカで3ヶ月ほど研究を行う機会に恵まれました。アメリカの大学でリサーチアシスタントのポジションを用意してもらい経済的負担なく研究することができ、ありがたかったです。アメリカでの経験から大きな刺激を受け、知見を広げることができました。

 私たちの研究室では、週1回ゼミがありそれぞれの進捗状況や最新の論文を紹介する機会があります。自分の研究を他の人にわかりやすく伝える練習にもなり、学会発表や就職活動に生かされると思います。また、研究というと実験や考察をずっとやっているイメージがあるかもしれませんが、合間に雑談をしたり定期的な飲み会が開かれたりと、研究以外の楽しみも多くあり充実した学生生活を過ごしています。

第64回電子スピンサイエンス学会にて
写真:第64回電子スピンサイエンス学会にて