2026年の年頭にあたって
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
今年の六十干支は丙午(ひのえうま)です。江戸時代に出版された、井原西鶴作の「好色五人女」に収録された「八百屋お七」という物語の中で、青果店の娘・お七は、恋人に会う目的で放火事件を起こして死罪になってしまいます。お七が丙午生まれとされたことから、丙午に女性を生むことが敬遠され、60年前の1966年に生まれた子供は前年比約25%減の約136万人となりました。その前後の1965年および1967年の出生数がそれぞれ約182万人、194万人なので、いかに1966年の出生数が落ち込んだかがわかります。あれから59年後の昨年、すなわち2025年の出生数は約66.8万人とされ、丙午ショックと呼ばれた1966年の出生数の半分にも満たず、想像を超える速度で少子化が進行しています。また、出生数が200万人を超えた第2次ベビーブーム世代(1971~1974年生まれ)が今後13年ほどで引退の時期を迎え、高齢化も一気に進みます。少子高齢化は日本だけの現象ではなく世界的な傾向ですので、今後は少子高齢化を前提に社会構造を変革していく必要があります。
少子高齢化の対策として期待されているのがAIの活用です。定型業務の自動化や判断業務の支援等のAIによる生産性の向上はもちろんのこと、健康維持のための医療・介護分野への活用や、婚姻数減少に歯止めをかける婚活支援等にもAIの活用が期待されています。コロナ禍が収まりつつあった2023頃から一気に普及した生成AIは、いまやインターネットやスマートフォンのように、あるのが当たり前のツールになっています。今後、AIの研究、およびAIを活用した社会課題解決は、加速的に発展していくでしょう。さらにAI研究や活用を加速させるために、次世代半導体デバイスの開発にも大きな期待が寄せられています。本学にも、半導体フロンティア教育研究機構、通称IFERSが昨年設立され、情報科学研究院や量子集積エレクトロニクス研究センターの教員の皆様も多数参画しています。本学院・研究院の皆様が取り組んでいる現在の研究や、今後取り組んでいく研究が、少子高齢化をはじめとする様々な社会課題の解決に貢献していくことを楽しみにしております。
一方で、次世代のAI人材や半導体人材を育成していくことも、我々の大きな使命となっています。令和5年度大学・高専機能強化支援事業に採択され、昨年4月から、工学部情報エレクトロニクス学科への配属学生数が50名増え、230名となっています。この50名増となった学年が、今年の4月からは3年生となり10月には研究室配属されます。また、昨年は半導体人材育成拠点形成事業(enSET)に採択され、半導体を「つくる」「つかう」人材だけでなく、関連分野を俯瞰し様々な技術を統合していくことができる「つなぐ」人材の育成にも取り組んでいきます。
2026年を、本学院・研究院がさらに発展する年とすべく努力して参りますので、今後も本学院・研究院の活動に、ご協力とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
2026年元旦
北海道大学大学院 情報科学院長/情報科学研究院長
近野 敦
