ディジタル幾何処理工学研究室


自動車・建設・医療など現代の様々な産業で日々発生する3次元ビッグデータを分析・加工し,有用な情報を抽出するための数学的な理論と,そのソフトウェアによる実装技術,すなわち「役に立つ3次元コンピュータグラフィックス」の研究を行っています.


【研究紹介】

3次元計測点群の認識とモデリング

現在,レーザや画像による3次元計測技術を用いることで,私たちが活動する環境や,橋梁等の大型構造物の3次元計測データを取得することが可能となっています. 取得した計測データは点群と呼ばれる点の集合です.下の動画は,車にレーザスキャナを搭載し,道路を走行しながら3次元計測を行う”モービルマッピングシステム”で取得した北大キャンパス内の点群です.


計測とデータ提供:アジア航測株式会社

上の画像をクリックするとブラウザ上で点群を見ることができます.

点群は,x,y,zの座標値を持つ点の集合で,そのままでは「見る」や「2点間の距離を測る」程度のことしかできません.点群を活用するには,点群中の曲面形状や物体を認識し,点群が表す形状を利用しやすい形式に変換(モデル化)する技術が必要となります. 下の動画は,3次元レーザ計測点群から,橋脚の3次元CADモデルを半自動で生成している例です.


CADモデルは,面情報(数式の曲面)を持ち,属性情報等も与えることができます.例えば,点群から生成した橋脚のCADモデルは,点検データと紐付けすることで橋梁の高度な維持管理を可能とします.研究室では,機械学習,曲面フィッティング,画像処理技術を利用して,市街地環境中の建物,橋梁,室内環境の認識とモデル化の理論・アルゴリズムを開発しています.

3次元形状処理技術による医療支援

X線CTやMRIなどから得られる人体の3次元計測データの活用や3次元形状処理は,医療技術の高度化に有用です.本研究室では,人体の3次元計測データを利用した人体解析技術や医療器具設計技術,高機能な人体3Dモデルの生成技術を開発しています.




【設備・機器紹介】

3次元レーザスキャナ

数10m先までを非接触で3次元計測が可能な地上設置型レーザスキャナ(FARO FOCUS 3D S120)を保有しています.三脚の上に設置して,数分間で1,000万~4,000万の点の集合(点群)を取得することができます.そのほか,ハンディ型スキャナ(F6 smart),工業製品向け高精度工学式スキャナ(VIVID),RGB-Dカメラ(KINECT,EXION),レーザスキャナを搭載したヘッドマウント型MRデバイス(HoloLens2)などを保有し,研究用の3次元計測データの取得に利用しています.また画像から3次元再構成を行うSfM/MVSのための高機能カメラとソフトウェアを保有しています.


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