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ネットジャーナル13

解説

解説1:コヒーレントX線を利用した顕微鏡(X線回折顕微法)

レンズの代わりにコンピュータを使い、X線の波(電磁波)の位相(山や谷の位置)の変化を見ることで試料の内部構造を立体的に映し出す。試料にコヒーレントX線を照射すると、分子や細胞内部の物質に当たり、X線が散乱する。その散乱パターンを測定し、コンピュータで解析することで、物質の内部構造を明らかにする。

X線回折顕微法の概念図と、測定によって得られたヒト染色体の輪切り像
(写真1)X線回折顕微法の概念図と、測定によって得られたヒト染色体の輪切り像

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解説2:定説をくつがえす染色体構造の解明

DNAは直径2ナノメートルの細い糸で、ヒストンと呼ばれる糸巻きに巻かれて、直径約11ナノメートルのヌクレオソーム線維を作ります。現在広く受け入れられている定説では、ヌクレオソーム線維がらせん状に規則正しく折り畳まれて直径約30ナノメートルのクロマチン線維ができ、さらにクロマチン線維がらせん状に規則正しく巻かれて階層構造を形成するとされてきた。今回、研究グループは、直径約30ナノメートルのクロマチン線維の証拠の一つとされてきたX線散乱に現れるピークが、染色体の本体ではなく、染色体の表面に付着したリボソームによることを突き止めた。さらに、独自に開発した超小角X線散乱装置を用いることで、従来は測定が難しかった1マイクロメートルほどの大きさをもつ染色体の全ての長さスケールにわたるX線散乱測定が可能になった。この結果、定説から予想される約100ナノメートルや約200〜250ナノメートルなどの線維の存在を示す散乱ピークは観察されなかった。今回の一連の結果は、定説のモデルにあるクロマチン線維も、クロマチン線維がさらに規則正しく束ねられた高次の構造も存在しないことを示している。

ヌクレオソーム線維
(図1)ヌクレオソーム線維(赤い線)が染色体の中に不規則に収納されている。染色体には、コンデンシン(青色)やトポイソメラーゼIIという蛋白質が軸のように存在する。

「著書のページ」
(図2)(A)染色体に対して、SPring-8のBL29XUで超小角X線散乱測定を行った。染色体直径に相当する1マイクロメートルまでの範囲を調べたところ、定説で予想される、約100ナノメートル、約200-250ナノメートルの散乱ピークは観察されなかった(B)。

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解説3:X線自由電子レーザー(XFEL)を用いた複雑系生体分子の構造可視化法

図はパルス状コヒーレントX線溶液散乱法の模式図。特別に開発した環境セル(試料ホルダ)に金のナノ粒子集合体やバクテリアなどの生物試料を封入して、X線自由電子レーザー施設SACLAを用いて、パルス状コヒーレントX線溶液散乱測定を行った。測定の結果、試料が破壊される前の状態からのコヒーレントX線回折パターンをXFELのシングルショットで計測することに成功。環境セルや溶液からのバックグラウンド散乱の影響は観察されず、開発した環境セルが高精度のパルス状コヒーレントX線溶液散乱測定に適していることが示された。

パルス状コヒーレントX線溶液散乱法の模式図
(図3)パルス状コヒーレントX線溶液散乱法の模式図

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解説4:北大オープンファシリティ

北海道大学が保有する高度な研究設備を、学内外の研究者も利用できるシステム。本研究では、レーザー描画装置/プラズマCVD装置/反応性イオンエッチング装置/電界放射型走査型電子顕微鏡/顕微ラマンマイクロスコープシステム/カラー3Dレーザー顕微鏡/走査型プローブ顕微鏡などを利用している。

北海道大学オープンファシリティのサイトはこちら

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